メッセージ

南北首脳会談と日本

2018年9月20日 かりの会ピョンヤン 小西隆裕

朝鮮の南北首脳会談が9月18日から3日間、平壌で行われた。

世界的注視と関心の中、隣邦で行われたこの会談に日本としてどう向き合うのかが問われている。

今年4月27日、朝鮮半島の平和と繁栄、統一を目指す「板門店宣言」を採択した前回の首脳会談に続き、今回の会談は、その合意に基づき、それを深め強固化するものとして行われた。

一方会談は、前回がそうであったように、この会談に続き設定されている朝米首脳会談に向け、朝鮮半島の非核化を促進することを目的に行われた。

大きくこの二つの目的を持って行われた今回の会談結果に対する大方の評価は、前者が大きく促進され、南北の融和が一段と深まったのに比べ、後者の前進があまり見られなかったというものだ。

そこで確認すべきだと思うのは、何よりもまず、これまでその分断と敵対が戦争の危機と緊張の根源になってきた南北朝鮮の融和と友好が深まることが、東北アジアの平和と繁栄にとって決定的な意味を持っており、日本にとっても極めて大きな利益になるということだ。今の日本において、この歴史的意義についての国民的合意が決定的に遅れているのではないだろうか。

もう一つは、今回の非核化への合意に基づき、近い将来開かれる予定の第二回朝米首脳会談で、朝鮮半島の非核化が大きく促進され、平和で繁栄する東北アジア新時代が決定的に切り開かれる可能性が十分にあるということだ。

今日、平和と繁栄の東北アジアへの転換は、朝米だけでなく、広く世界的で時代的な要求になっている。今回の会談結果に対する米大統領トランプの賛意と喜び、世界的範囲で高まる歓迎の声は、そのことを雄弁に物語っていると思う。

今、日本に問われているのは、この東北アジア新時代を確実に到来する厳然たる現実としてしっかりと受け止め、その平和と友好、繁栄の実現のため、時代の当事国として積極的に寄与していくことではないか。そこにこそ、アジアとともに、世界とともに進む日本の新しい未来があると思う。

 

翁長さんの遺志を!

2018年8月31日 かりの会ピョンヤン 小西隆裕

8月8日、翁長雄志沖縄県知事が亡くなった。
「命かけ辺野古に心残し逝く」
「仁王立ち矢ぶすま覚悟で逝きにけり」
知事急逝の報直後から新聞社へ相次いだ投句の数々。翁長さんは、沖縄の心を背負って命を懸けた、県民のお父さんのような人だったという。

「イデオロギーよりアイデンティティ」「オール沖縄」。保革、左右の壁を超えて全沖縄県民を一つにしたこのスローガンは、まさにそこから生まれたに違いない。

今、世界は、自分のもの、自分たちのものを求めている。「沖縄」を掲げた翁長さんは、それに応え、その先端を切り開いた。

辺野古新基地反対闘争は、沖縄の自己決定権を求める闘いとして、折から興った立憲主義・反安保法制の幅広い全国民的運動とともに、さらには世界に巻き起こる自国第一主義の嵐とともに、かつてない運動の高揚を生み出した。

だが、その翁長さんはもう居ない。闘いの柱を失い暗然たる中、遺されたわれわれに問われていることは何か。時代は、今、大きな転換の時を迎えている。

米国によるグローバル覇権が破綻・崩壊する中、戦争と敵対から、平和と友好、繁栄へ、東北アジアに生まれ、世界を震撼させる地殻変動。

南北朝鮮が平和と繁栄、統一を求め、主導するこの歴史の新時代は、自分のもの、自分たちのものを求めてうねる、世界史的運動の一環であり、その新しい発展だ。

今こそ問われているのは、翁長さんの遺志であり、遺志を全面的に実現することではないだろうか。

新たな時代的状況に対応するため、米国は今、日本の政治経済的、軍事的な一層のアメリカ化、その一環としての辺野古をはじめ沖縄と南西諸島の日米共同軍事基地化を一段と強化しようとしている。

そうした中、沖縄戦の犠牲者らを悼む直近の「慰霊の日」、その平和宣言で翁長さんは、「民意を顧みず工事が進められている辺野古新基地建設については、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行している」と基地建設の時代への逆行、反動を戒め、それに抗する闘いを訴えた。

自分のもの、自分たちのものを求める民意に応え、その民意に訴えて、世界と東北アジアの新しい時代的流れに合流すること、この翁長さんの遺志にこそ、「オール沖縄」の闘いをアジアとともに進む「オール日本」の闘いと一体に、決定的勝利に導く鍵が秘められているのではないだろうか。

 

大国のパワーゲームを終わらせる東北アジアの地殻変動

2018年8月5日 かりの会 ピョンヤン 若林盛亮

かりの会帰国支援センター総会が、新橋カンファレンスセンター6階会議室で7月29日に開催される。

今総会は、南北首脳会談、朝米首脳会談後に起きつつある東北アジアの地殻変動という新しい情勢下で開かれるが、「よど号問題」見直し帰国闘争の最終決着のための好機として、この地殻変動を正しくとらえるべきであるという主旨で開かれる。

第一部は活動報告として、ツイッター“yobo_yodo”、ウェブサイト「ようこそ日本人村」の現況、そして新たなK子さんへの「旅券再発給の闘い」について経過説明がなされる。

そして今総会の主旨からして目玉は、第二部「どうなる日朝関係! 訪朝報告」になる。

慰安婦問題を中心に日朝間の懸案問題解決に取り組まれているフォトジャーナリスト・伊藤孝司氏はじめ今年、訪朝された三名の方が生々しい現地報告をされる。またシンガポール現地で取材された浅野健一氏からの生の朝米首脳会談レポートが予定されている。

この方たちの報告が具体的にどのようなものになるかは知るよしもないが、この間「救援」紙上で述べてきたように「主役はトランプではなく南北朝鮮」であること、南北それぞれが「いじめに強い」体質造りに成功し、いまは南北が力を合わせて「いじめをなくす」(大国のパワーゲームの利用物にならない)段階に突入した、この東北アジアの地殻変動の本質を少しでも感じていただけるものになるのではないかと期待している。

わが国ではいまだに朝米首脳会談の評価が旧来の思考方式、「大国のパワーゲーム」の域を出ず、今後の対応でわが国が大きな過ちを犯すのではないかと危惧している。

一例をあげれば、朝米首脳会談を前後して金正恩委員長が三度に渡り訪中したことをもって、「朝鮮が再び中国を後ろ盾にした」とか「朝鮮問題が中国主導になった」という見解がまかり通っている。また朝米首脳会談は「今秋の米中間選挙を前にしたトランプのパーフォマンスにすぎない」といった類の議論が事の本質をわからなくさせている。要するに東北アジアで起きている事態は、大国のパワーゲームの延長上にあるものであり、大国による「いじめ」構図に変わりはないという見方だ。

この見方からは東北アジアの新事態に対するわが国の対応は誤ったものになる。

その端的な例は「日本が最前線になる」論、朝鮮半島の軍事境界線がなくなればパワーバランス上、「中国を後ろ盾にした北朝鮮」に対し日本が最前線とならざるをえない、といった論議だ。最前線の役割を担う以上、集団的自衛権行使容認範囲を拡大すべきだし、ひいては憲法9条第二項「交戦権否認、戦力不保持」削除、すなわち自衛隊が敵攻撃能力、戦争能力を持つことに踏み切るべきだという議論に導かれていく。現に秋の自民党総裁選に出馬をめざす石破茂元防衛大臣はこのような発言をしている。それはわが国が憲法9条の縛りを抜けて米軍と一体化し、戦争能力を持つパワーとしてアジアで米覇権を支える国になるという時代遅れの思考方式だ。

東北アジアの地殻変動の主導力は、大国の利用物にはならないという南北朝鮮であり、その事態の本質は大国のパワーゲームの時代を終わらせるものであるというところにある。

「北」はソ連圏にも入らず、中国の風下にも立たず自主、自立、自衛の国造りをやった上で、対米対決戦ではその最終決着として米本土全域を射程に収める核ICBM保有、国家核武力完成によって米国の対朝鮮軍事力行使を不可能に追い込んだ。

「南」では親米傀儡・李承晩政権を倒した一九六〇年の4月革命とその挫折以降、親米軍事独裁政権に対する民主化の闘いが連綿と継承され、一九八〇年の光州人民蜂起を契機に反米自主、統一が民主化の一環として闘われるに至り、その闘いの伝統が昨年のろうそく革命による文在寅政権、「北」との戦争状態終結、統一をめざす政権を生んだ。

このような「大国のパワーゲームを終わらせる」南北朝鮮の闘いの結実として南北首脳会談、朝米首脳会談があり東北アジアの地殻変動がある。

私たちはこうした観点に立って、大国のパワーゲームの時代、対朝鮮敵視時代の遺物である「よど号問題」の最終的清算をめざす闘いにより積極的に取り組んでいく決意である。

 

東北アジア新時代への地殻変動を正しく見、正しく対処することが必要

2018年7月10日 かりの会 ピョンヤン 若林盛亮

南北首脳会談から朝米首脳会談で大きく動き出した朝鮮半島を中心とした東北アジアの激動、新しい時代の地殻変動にわが国が対応できず右往左往しているように見える。

小野寺防衛大臣は、朝米首脳会談時の記者会見での「善意の対話が続く間は米韓合同軍事演習を中止する」トランプ発言に、「日本の抑止力を弱めるもの」と猛反対、のちにそれが米政府の公式見解とされるや「評価する」と前言を翻したものの「米韓合同軍事演習は必要なもの」と不快感を隠さなかった。今回の朝米首脳会談に対する評価において日本の政界、言論界では「北朝鮮の非核化の内容に乏しい」とか、「譲歩しすぎ」などと否定的なものが多い。総じて朝鮮半島において戦争状態を終わらせ、東北アジアが平和地帯、非核地帯へと変貌をとげようという時代の変動を直視できずにいる。

1970年代にあった突然の米中国交正常化で世界を驚かせたその立て役者、ニクソン政権時の安全保障担当補佐官であったキッシンジャーは、2017年初頭、トランプ政権が発足した時、「かれにはチャンスが与えられるべきだ」と題して中央公論(3月号)に寄稿した。

「歴史をひもとけば、例えば欧州の『一八四八年革命』(自由主義、ナショナリズムの高揚により、欧州で次々に革命が発生し、ナポレオン戦争後の国際秩序を担ってきた国王、貴族による『ウィーン体制』が崩壊した)の例もある。この時も、いくつもの激変が同時多発的に起きたが、2016年は、それが地球規模で起きた」
これは2016年に起きた英国のEU離脱など欧州各国で「自国第一主義」台頭など、グローバリズム拒否の台頭とトランプ大統領の誕生を重ね合わせたキッシンジャーの時代認識だ。

戦後世界の覇権秩序であった米国中心の国際秩序が音を立てて崩れている、この世界的地殻変動の時期に、古い秩序の「破壊者」、新しい覇権秩序を立てる大統領としてトランプに「チャンスは与えられるべきだ」というのがキッシンジャーの結論だ。

朝鮮半島の地殻変動について言えば、北と南でそれぞれ「いじめに強い」体質を培ってきた南北朝鮮民族が、トランプに戦争状態終結、分断と敵対の禍根である軍事境界線の撤廃を迫る、これが南北首脳会談から朝米首脳会談へと進展する事態の本質だった。

「反テロ戦争」を掲げたブッシュ政権時、「核先制攻撃の対象国」にあげられた「北」は、米本土全域を射程に収める核ICBM保有という「国家核武力計画完成」によって、米国が「北」に対し軍事力行使・戦争に訴えることを不可能にし、他方、「南」の「ろうそく革命」が産んだ文在寅政権は、昨年の「一触即発の朝鮮半島危機」に際し、韓国政府の承認なしには朝鮮半島での軍事力行使、戦争は起こさせないと強く米国に要求した。韓国軍は戦争に協力しないという意思表示だ。南北それぞれが「いじめに強い」体質造りに成功し、いまは南北が力を合わせて「いじめをなくす」段階に突入した、それが今年に入っての地殻変動の正しい見方だ。

東北アジア新時代、その地殻変動の本質は、もはや大国の覇権的利益、都合によって東北アジア諸国の運命が左右されない、そのような時代をつくっていこうということだ。

日米安保基軸で軍事は米国に委ね「軽武装と経済至上主義」のスローガンの下、米中心の世界覇権秩序の恩恵を受け「繁栄」を謳歌できた戦後日本神話、「米国についていけばなんとかなる」という時代は永遠に過去のものになった。

時代の地殻変動を直視し、自分の眼で世界を見、自分の頭で対処する、新しい日本に生まれ変わる好機にしていくべき時が来たのだ。東北アジア新時代の地殻変動に応じた新生日本の形を日本人すべてが考えることが問われていると思う。

 

主役はトランプではなく、南北朝鮮であることが明らかに

2018年6月5日 かりの会 ピョンヤン 若林盛亮

朝令暮改、これがいまの米覇権帝国の現実であることを世界は知った。五月二五日、朝には「朝米会談中止」を世界に宣言したトランプが夜には「予定通り6月12日にやる」と態度を一変させた。

こ日の夜、私たちはBS放送の「深層NEWS」を見ていた。テーマは「トランプの米朝首脳会談中止の表明について」だった。ところが番組終了間際、「予定通り六月一二日に米朝会談は行われるだろう」というトランプ発言の速報が入った。米国政治専門の政治評論家、渡部恒男氏は「これは米国の権威を落とすもの」と苦り切るしかなかった。

事の発端は、朝米会談を前にしたボルトン大統領安全補佐官の「北朝鮮の完全非核化が前提、その前にはいっさい見返りを与えない」発言だが、これに朝鮮の金桂冠第一外務次官が「一方的な核放棄を要求するなら、朝米会談を再考せざるをえない」と応じ、さらに崔善姫外務次官は、「哀願外交はしない」、「米国のとるべき態度は朝米対話の席に着くか、核対核の核対決戦に出るのか二つに一つだ」、すなわち米国には対話か戦争か二者択一の道しかないと決心を迫った。

朝米首脳会談の本質は、米国が朝鮮に非核化を迫るところにあるのではない。先月、この欄で書いたことだが、再度、記すことをご容赦願いたい。

四月二七日の南北首脳会談、その結実である板門店宣言の基本精神は、朝鮮半島の平和と繁栄、統一であり、その実現主体が「わが民族同士」、南北朝鮮民族であることを謳ったことだ。それを象徴するのが朝鮮戦争停戦六五周年の今年中に戦争終結を宣言し強固な平和体制を築くという南北合意であり、それはすなわち「北」との戦争当事者である米国には停戦協定廃止、平和協定締結を迫るということだ。朝米会談はそのためのものだということを示唆したものだ。

崔善姫氏の「対話か戦争か」、米国に決心を迫る発言の主旨は、米本土全域を射程に収める核弾道ミサイル「火星一五型」試射成功によって「国家核武力計画完成」宣言をした朝鮮に対して米国には戦争の選択肢はなく対話に出るしかない、嫌であろうとこの現実を受け入れなさいということだ。

「あさま山荘への道程」の若松孝二監督はピョンヤンでお会いした際、「朝鮮は俺と同じだ、いじめに強い」と言われた。「北」は解放後、米国など大国の「いじめに強い国」造りをしてきた。他方、「南」はどうか? 顔面に大やけどを負わされた在日留学生、徐勝氏への拷問事件、銃剣で鎮圧の光州人民蜂起大虐殺、学生らのビルからの抗議の投身自殺続発などで世界に悪名を轟かせた歴代親米軍事独裁政権の苛酷な弾圧に抗して「いじめにめげない主体」を築く学生運動、労働運動など民主化、祖国統一のための闘いの火種を絶やさなかった。そしてその結実が昨年の汎国民的な「ろうそく革命」によって産まれた文在寅政権だ。俗に「八六五世代」政権、「八〇年代に学生運動を経験した六〇年代生まれの五〇歳代」の政権と言われている。前号でも書いたように、三十年前に韓国外大の女学生、「統一の花」と称賛された林秀卿(リム・スギョン)のピョンヤン派遣を成功させた「罪」で懲役刑に処せられた伝説の学生運動リーダー、全大協議長、その人がいまは南北首脳会談を取り仕切る大統領特別秘書室長、任鍾晳(イム・ジョンソク)氏であることは象徴的だ。

北と南でそれぞれ「いじめに強い」体質を培ってきた南北朝鮮民族が、トランプに戦争状態終結、分断と敵対の禍根である軍事境界線の撤廃を迫る、これが南北首脳会談から朝米首脳会談へと進展する事態の本質だ。南北それぞれが「いじめに強い」体質造りに成功し、いまは南北が力を合わせて「いじめをなくす」段階に突入した、それが今年に入っての事態の正しい見方ではないだろうか。

一方、トランプの朝令暮改ぶりは、戦勝国が敗戦国に迫るがごとき「北朝鮮の完全な非核化が前提」の看板で体裁だけでも取り繕おうとしても、それすら否定されて右往左往する米覇権帝国の零落ぶりを世界に示すものだ。

南北首脳会談から朝米首脳会談への大舞台の主役は、トランプではなく南北朝鮮民族であり、彼らの「いじめをなくす」闘いだ、そう見て間違いはないと思う。

 

メッセージ2018年~新年に当たり、申し上げたいこと

2018年1月1日 小西隆裕

新年、明けましておめでとうございます。サイトを立ち上げてから最初の正月を迎えました。そこで、私たちが新しい年、2018年をどうとらえ、どう迎えようとしているのか申し上げようと思います。

新年について最近よく言われるのが、1868年、明治維新から数えて150年だということです。こういう「節目」というものがどれだけの意味を持っているのかよく分かりませんが、一つ思うことがあります。それは、あの時、欧米覇権が押し寄せてきたとすれば、今はその崩壊が押し寄せてきているということです。

150年前の日本は、押し寄せてきた欧米覇権を「攘夷か開国か」の大議論で迎え、維新を挟み、結局、「開国」「脱亜入欧」でそれに応えました。それが欧米に従属しアジアに覇権する従属覇権の日本の歴史を決めたと言うことができるでしょう。

では今、米覇権崩壊の現実に日本はどう対しようとしているでしょうか。
150年前、欧米覇権の象徴は、1853年襲来したペリーの「黒船」でした。それに対し今、米覇権崩壊の象徴は何か。そこで思い浮かぶのは、旧年行われたトランプによるアジア歴訪です。やって来たのは今にも沈没寸前の「泥船」でした。

この「襲来」を契機に、「攘夷か開国か」ならぬ、「米国につくのか中国につくのか」、はたまた「覇権多極化か」、等々の議論が、このところ深まって来ていた「混迷」を一層抜き差しならぬものにした感があります。

そこで提起したいことが一つあります。それは、新年を迎えながら、「立憲自主か従米改憲か」という角度から日本の進路について考えてみるのはどうかということです。

旧年、あの「安保法制・改憲」を踏み絵とする小池「選別・排除」に対し、立憲主義、民主主義を旗印とする立憲民主党が大きな国民的支持を受けて誕生・躍進しました。そして新年早々、トランプべっちゃりの安倍首相が2020年、日本を「戦争できる国」へ生まれ変らせる「改憲」への意欲を露わにしています。

そこで、「立憲自主か従米改憲か」の議論です。米国の意思ではなく、どこまでも日本国憲法に基づいて政治を行う立憲自主の道に進むのか、それとも、米国言いなりに改憲し、米国と共同で戦争する従米改憲の道に進むのかという議論です。これは、民主か独裁か、平和か戦争かの闘いであると同時に、米覇権崩壊の現実に直面しながら、古い覇権の世界そのものと決別し、アジアとともに世界とともに、脱覇権自主の新しい道に進むのか、それとも、あくまで米覇権、覇権世界そのものにしがみつき、従米覇権、従属覇権の古い道にとどまるのかの闘いだと言えると思います。

新しい年、2018年を迎えながら、私たちは、この議論に積極的に参加し、立憲自主の新しい日本実現のため、少しでも寄与できればと考えています。どうかよろしくお願いします。

 

サイト開設に当たって

2017年11月25日 小西隆裕

皆さま、こんにちは。朝鮮・ピョンヤン、よど号日本人村へおいで下さり有り難うございます。皆さまは、当方最初のお客さまです。
この度、私たちは、当ウェブサイト「ようこそ、よど号日本人村」を開設し、日本の皆さまと広くお付き合いさせていただくことにしました。

1970年の3月31日、私たちが日本を飛び立ち、日航機「よど」をHJして、朝鮮に来てから、47年を超える長い歳月が経ちました。当初、日本で武装闘争をするため、朝鮮を国際根拠地とし軍事訓練もしようとやって来た私たちでしたが、物事、やはり現実の要求と条件に合わないことは成就できません。自らの至らなさに思いを致した私たちは、新たな闘いに出発しました。それからの長い歳月、何があったか、それについては、サイトの各種コーナーでのお付き合いを通じて、今後ご理解いただき、お互いの意思の疎通を図っていければと思っています。

こうしてサイト開設を目前にした、去る11月14日、思いがけないことが起こりました。私たちのかつての責任者、塩見孝也さんが心不全で亡くなったのです。悲しく残念な報でした。サイトの開設は、私たちの心と環境に相応しいものではなくなりました。しかし、いつまでも開設を伸ばしている訳にはいきません。それは、故人の望むところでもないと思います。

今、サイト開設のご挨拶を行うに当たって、まず問われていること、それは「なぜ今、サイト開設?」なのではないかと存じます。日本との関係最悪の国、米国から世界でもっとも危険な国と烙印された国、その「注目」の国、朝鮮から、もうほとんど生きた化石と化しつつある私たちが、こともあろうにウェブサイトの開設とは、ということです。

サイトを開設することは、もともと私たちの切なる願いでした。このSNSの時代、手紙などペーパーを通じての発信、交流は、いかにも時代遅れそのものです。そこで3年ほど前から、国内の支援者のお力添えで、ツイッター「yobo‐yodo」を始めました。結果は予想を超えたものでした。返ってくるのは、いわゆる「ヘイト」の山と連続。さすがの私たちも、いささか閉口、という時もありました。しかし、考えてみれば、彼らがそう言うのももっともです。要は、その思いにどう応えていくかです。

今、世界は動き、時代も動いています。トランプ大統領の登場は、その象徴だと言えるでしょう。このかつてない時代にあって、国内の方々の声にお応えしながら、祖国日本の現実に、私たちなりの視点から提言し、帰国へ向けての訴えを発し、ご理解を得て行くのは、決して容易なことではありません。今回開くサイトに私たちは、「議々論々」や「よど号LIFE」などいくつかのコーナーを設け、それらを通して、私たちの見解だけでなく生き様まで、私たちを丸ごと知っていただいて議論し、その輪を広げていけるならと切に願っています。

どうかこれからのお付き合い、よろしくお願いします。