歴史の見直し

魚本公博

歴史好きの私。大河ドラマも大好きです。
今年の大河ドラマ「女城主 直虎」。残された資料も少ない中、大胆な推察を駆使して面白く作られていました。終盤の焦点は「本能寺の変」ですが、ここでもドラマは、この事件は、織田信長が徳川家康を殺そうとした中で起きたのだという「仰天」の新説を取り入れています。

この説は、光秀の子孫、明智憲三郎さんがその著書「本能寺の変 431年目の真実」(初版は2013年)で解き明かした説で、私も「なるほど」と納得したものでした。

そして、次回の大河ドラマは「西郷(セゴ)どん」で西郷隆盛が主人公。
西郷隆盛と言えば、「征韓論」を主張し、朝鮮侵略の元凶とされてきた人物です。しかし近年、それは、その後の日本の欧米追随路線を敷いた大倉具美や大久保利通などの権力者による「作り話し」であり、西郷隆盛は、それとは正反対に欧米の東アジア侵略の動きに対して、日本-中国-朝鮮の三国提携を模索していたのだという説が浮上しています。毛利敏彦さんなどが(著書「明治六年の政変」)主張している説ですが、まったく、その通りだと思います。

「温故知新」。古きを訪ねて新しきを知る。そこに歴史を知り学ぶ意味があるわけで、明治以来の欧米崇拝、その覇権の下で生きてきた日本の生き方への見直しが求められている中でのこうした新説。興味深くも大事なことだと思います。

「本能寺の変」も立花京子さんが、その著書「信長と十字架」などで主張しているように、織田信長の興亡の背景にはポルトガル・スペインの欧州勢力があったという説があります。

日本が欧米に接するようになった時期、「欧米の動き」を見ずには「歴史の真実」は見えてこないと思います。
日本歴史で言われる各種の「謎」。「本能寺」もそうですが、「千利休の切腹」「秀吉の朝鮮侵略」、はたまた「坂本龍馬の暗殺」「明治六年の政変」などなど。その背後に欧米があったと見てこそ解ける「謎」です。

そうした諸「新説」の提起。それは、日本が欧米を崇拝しその覇権の下で生きてきた近代以降の生き方を見直そうという動きの一環なのだと思います。

「西郷どん」で西郷隆盛がどのように描かれるのか分かりませんが、楽しみです。