小西隆裕
近代科学は、ガリレオが人間を自然の外に置き、外から自然を観測するようにしたことから始まったそうだ。先日読んだ山本義隆さんの著書、「近代日本150年」(岩波新書)にそうあった。
それで思ったのだが、今の世の中、確かに物事を外から見るのが一般的になっている。脱亜入欧の近代日本そのものがアジアを外から見ている。アジアどころか日本も、いや自分たち自身のことまで。例えば、自分の省庁までも外から見て他人事にし、責任を負わない大臣が続出している。
他人事ではない。私自身もそうなっているのではないか。アジアや日本に対してだけではない、自分たちのことさえも外から見ているのではないか。
そこで思ったのは、自分を事物現象の外ではなく中に置き、中からそれに対するようにしたらどうなるかだ。それで意識的にそのように頭を動かしてみた。するとそれが結構いい。
何か世界が「身内」になったようで、温かい気持ちになる。人間世界だけでなく、自然界まですべて「身内」として大切にしなければという気になる。
どうですか。貴方も一度やってみませんか。