閣議決定やり直しの2019年度予算案―これって、国の責任を国民に負わせることではないでしょうか

若林佐喜子

厚生労働省の「毎月勤労者統計」の不適切統計問題は大きな波紋を呼んでいる。

2004年以降、東京都内の従業員500人以上の事業所(企業)の調査について、元来はすべてを調査対象にしなければいけないのに、約3分の1しか調査していなかったために賃金データに正確さが欠け、本来よりも低い数値の状態が続いてきたことが今回、判明。

「毎月勤労者統計」は、国の経済状況を示すための重要な統計調査の一つ(基幹統計)で、その調査結果は雇用保険や労災保険の支給額を算定する基準、また、国内総生産(GDP)の算出にも用いられているために、その影響は計り知れないという。
政府は、18日、本来より過小に給付された人への追加分費用795億円(雇用保険対象者などへ546億円、事務手続きやシステム改修費195億円、その他)を計上し、前代未聞の2019年度予算案の閣議決定のやり直しを行った。

そこで問題は、やり直し2019年度案の内容です。

「本来より過小に給付された人への追加給付に必要な費用は795億円に上り、大半は保健料収入などで運営される「労働保険料会計」の積立金で賄う。」(朝日1月18日夕刊) 

結局、国の責任で生じたその費用を国民に負担させるということです。唖然とするとともに、怒りがわいてきました。絶対、内閣の「機密費」などで、政府が直接支払うべきです。

今回の不適切統計問題、「国家の信頼を揺るがしかねない大問題」と指摘する人もいます。引き続き注視してきたい。