―社会保障制度改革―なぜ、主導するのが経済産業省なの?

若林佐喜子

安倍政権は、来年度からとりくむ成長戦略の基本方針の一つに、「全世代型社会保障制度改革」をあげています。社会保障と言えば、医療、皆保険、年金、福祉政策など、当然、厚生労働省の管轄と皆さん、考えますよね。

ところが、安倍首相は内閣改造時の記者会見で「全世代型社会改革は経済産業省主導の未来投資会議で検討する」と表明。実際、初の未来投資会議で「生涯現役社会の実現に向けて雇用・社会保障の一体改革」を提言したのは世耕経産相でした。

すでに、消費増税対策として出されている内容をみれば、「中小の小売店でのクレジットカードによる2%の還元策」は、金融業界がカード化が進むと歓迎。また、「自動車や住宅購入などによる税負担の軽減」も、お金持ち優遇措置では? そもそも、消費増税により、中小企業の廃業とさらなる外国資本のM&A化が指摘されています。

これまでも安倍政権は、社会保障を営利的企業活動の場にするという、営利化、市場化を押し進めてきました。社会保障改革を経済産業省主導でやること自体、そのことを如実に示していると思います。

経済産業省が主導する未来投資会議では、「全世代型社会保障実現への対策」として、①継続雇用年齢の65歳以上への引き上げ。②年金給付金開始を70歳以上の選択可能。③ITを利用した「健康寿命の延律」への取り組みが示されました。

一体、どこが「すべての世代が安心できる社会保障改革」なのでしょうか?