よど号LIFE 2019年12月号

私たちの会話、最近多くなったもの

小西隆裕 2019年12月20日

食事の時など、最近私たちの会話で多くなったもの、それは「天気」だ。

前から気づいていたのは、「健康」だった。

それに、「天気」が加わった。

もちろん、このところ朝鮮の天気予報が正確になったのもある。ほとんど狂わない。

だから、自分が聞き漏らした予報を確かめがいもあるというものだ。

しかし、それだけではない。

考えてみれば、若い頃は天気のことなどあまり気にしなかった。

だから、話題にもならない。

しかし、年を取ってくると、そうはいかない。

寒さ暑さが身にしみる。

と言うわけで、今回は「天気」の話しでした。

「お客さん、できましたあ」!

若林盛亮 2019年12月20日

お誕生会用のケーキを二つ、買ってきてくれと言われ、馴染みの店に買いに行った。

ショウケースを見ると残りは1個! 「2個ないの?」と店員に聞くと、「すみませ~ん、もうこれしかありませんの」との返答。困ったなと私、その表情を見て売り場の女の子が「お客さん、少し待って!」と携帯電話を取り出した。デコレーションケーキをつくるのにどれくらいかかるか確認しているようだ。そして「お客さん少し待てます? きっかり15分で出しますから」と、“私に任せない”と自信の表情。

私は頭の中で他の店に行ったら? と距離と時間を計算、“15分なら変わらんか”とソロバンをはじき、「じゃあ、ほんま15分やな!」と再確認。「ハイ、ゼッタイに」と売り場の子のあまりの真顔にほだされて、できるまで待つことにした。

その子は店の裏手に出ていった。食品加工工場というか作業場があるようだ。

約束の“15分”が経過、まだケーキは来ない・・・待つこと20分近く。そろそろイライラが出始めそうな頃、裏手から例の売り場の子がケーキ入りの大きなビニール袋を下げて走ってきた。

「お客さん、できましたあ」! 

少し息切れ気味の嬉しそうな笑顔。それを見たら、「5分、遅刻やで」と嫌みを言う気力が失せたばかりか、つい「おおきにな」とこちらも笑顔を返した。

昔だったら「1個しかありませ~ん」の一言で何のケアもしてくれなかったはず、と今日の若い売り場の子の商売熱心、極上サービスにまたもや感心。

暮れゆく2019年

赤木志郎 2019年12月20日

新年まで後、10日余り。12月になると大同江も凍るのだが、まだ岸辺だけ凍っているだけだ。もちろん雪もつもっていない。かなりの暖冬だ。

今年の言葉は、ONE TEAMが選ばれた。ラグビーファンにとって嬉しい。しかし、上級市民やアンダークラスなども候補に上がったが、最終的に選ばれなかったのは、意図的のような気がする。はやり言葉で言えば、忖度したのだろうか。生活難はいっそう深まり、格差がさらに拡大しているはずなのにと思う。

経済成長率を見ても、アジア諸国が高いと予想されているのに比して、日本は来年も低いままだという。アメリカの戦闘機を爆買いして財政規模はさらに膨らみ、消費税のほとんどは国債利子の補填に使われている。

来年はオリンピックがあるが、一時的に盛り上がっても、全体的には不安な年になるのではないだろうか。

日本が死にたくなるような国と言われるのではなく、人々に希望と未来、生き甲斐を見いだせる国になることを皆、願っていると思う。

その国とはどんな国で、いかに実現していくことができるのか。それを見いだすことが来年の課題だと考えている。

若者に広がる「田舎暮らし」志向、イイネ!

魚本公博 2019年12月20日

先日見た、BS1の「COOL JAPAN」は「田舎暮らし」がテーマ。

今、日本では、2、30代の若者の間に「田舎暮らし」の要求が高まっているのだそうです。以前のような、退職者が「故郷に帰って余生を過ごしたい」とは様変わりして、若い人が新しい生活の場として、縁もゆかりもない「田舎」へ移住するのだとか。

それに対する外国人出演者の反応。そもそも外国では、「田舎暮らし」要求など「ない」らしい。その上、縁もゆかりもない「田舎」への移住など「信じられない」と。

番組では、「受け入れ」側の自治体と移住希望の若者をマッチングするイベントの盛況ぶりも紹介されていましたが東京からの移住希望地の第一は長野県なのだとか。その長野の伊那市の取り組み。都市開発課を新設し、移住の便宜を図る様々な取り組み。住居は古民家を改造して、買い取りで250万円、賃貸で月2万5000円という安価。その他、農業教習所や託児所、幼稚園などの育児施設の充実や補助。そして専門職員による移住者一人一人への細やかな対応などなど。

移住した若者の声も「よかった」「生活が安定した」などと好評。とくに「子育て」への満足感が大きな比重を占めているようだ。自然の中でのびのび育ち、周囲の目に見守られている安心感などと。

地方・地域の衰退が言われる中での各自治体の生き残りをかけた取り組み。そこに、ギスギスした都会生活に見切りをつけた若者たちが新しい生活の場として移住する。こうした地方と若者の結びつき、共に下からの生活の場からの動き。何か、日本が変わる原動力のようなものを感じ、日本も捨てたものじゃない、「イイネ!」でした。

ヤンドク温泉

森順子 2019年12月20日

寒さ厳しい冬が来ましたが、テレビでは平安南道のヤンドク郡に温泉街が建設された様子が、ここ数日間映し出されています。街中の温泉湯で沸き立つ画面を見ているだけでも、暖かくて気持ちのいい気分になりそうです。温泉街の敷地はどのくらいあるのかわかりませんが、その広さや街の創り方、建物も、これまでにないデザインや建て方で、わー、すごーいと、何回見ても声が出てしまいます。日本のテレビでは、今回は誹謗中傷ではなく、一年という短期間にこんなに豪華で立派な温泉街を建設、完成したこと自体、「奇跡」だと言って本当に驚いているようです。

新しい街が創られ福利施設が、またひとつ増えたことに人々もとても喜んでいます。その笑顔に自分たちの力を信じて生きていく朝鮮の人々の姿勢と自負心のようなものを感じました。

ハエたたきと野球

小西隆裕 2019年12月5日

最近、寒くなってきたせいか、部屋に一匹、二匹と小バエが紛れ込んできては、うるさくまとわりつく。

そこでハエたたきなのだが、どうもその腕が落ちた。たたき損じが多い。こういうところにも、寄る年波は容赦がないようだ。

そこで一計を案じた。

ハエに神経を集中することだ。ハエ以外何も考えない。目に映るはただハエだけ。

意識的にそうすると、これが大当たり。手元が狂わない。打ち損じがなくなった。

そこで思ったのは、野球でよく言う「集中力」だ。

五十数年前、野球部にいた時、ボールにこれだけ集中していたら・・・。

後悔先に立たずとはこのことだ。

極上のサービス

若林盛亮 2019年12月5日

去年の10月、この欄で紹介したピョンヤンでイチ押しの車部品店でのエピソード。

先日もワイパーのゴムがダメになったので新しいのを買いに行った。顔馴染みの店員、ヒャンミ(香美)ドンムが「今日はなに捜してはるんですか?」(関西弁風に表現すれば)とにこやかに接近。「BYD(中国車)のS6タイプのワイパーやけど、合うのある?」と尋ねると「大きいんと小さいんと、どっちがよろしいですか」と言うので、大きいのを買った。

支払いを済ませて帰ろうとすると「車は持ってきてはりますのん?」とヒャンミさん、「もちろん」と私。「ほな私が付けたげましょか」と彼女! エエッ、ほんとに~! それがあまりに自然だったので感激も倍増。

「ワイパー付けられるの?」と心配顔する私、「そんなん簡単ですわ」と彼女。私は取り付けにけっこう苦労するので、この小娘のしれっとした言葉にも少しびっくり。

11月も下旬、外は少し寒い、私はフード付きジャンパー、彼女は店の制服のまま、防寒着はなし。でもいっこうに気にする風もなく手際よく作業に。ものの10分もしない内に二つのワイパー新旧交換作業は終わった。

そして極めつけは、古いワイパーを手にした彼女の言葉-「これどこで買わはったんか知りませんけど、今度からはウチの店で買わはる方がよろしい。BYD車ならその専用部品がなんやいうても一番ですよ」!

いやあ、参った! サービスがきちんと商売上手に結びついている。自分の頭と身体を使ったヒャンミちゃんの極上のサービス! 

おおきにやで、また買いに行くわ・・・古希爺は単純です。

赤木志郎 2019年12月5日

事務室の廊下に大きな鏡がある。全身を映し出すことができる。その横に私の部屋があるので、出入りするときにどうしても鏡の中の私の姿をみることになる。

最近、目立つのは白髪が多くなったことだ。これまで私だけが白髪がなく髪が少なくとも黒々とした髪だった。中学生の頃か、白髪の祖母から「志郎ちゃん、髪がほんま黒いな。(私に分けてくれんかいな)」と言われたことを時々、想い出す。それほど黒々としていて、ずっとそのままだった。

ところが寄る年波に勝つことはできない。とうとう私も白髪になりはじめたか。仕方がない。全体的にはまだ黒いので贅沢な悩みかもしれない。

しかし、鏡の中の私は、そんなことで気を揉むより白髪になるまでなにかしてきたことがあるのかと問うているようだった。残念ながら、その問いにいまだ私は答えることができないでいる。

古代のロマンに思いは馳せる

魚本公博 2019年12月5日

Mさんから百舌鳥古墳群を訪ねた折りの感想が写真と共に送られて来ました。

昨年7月に「百舌鳥、古市古墳群」として国連ユネスコの世界遺産に登録され是非行ってみたいと思っていたのだそうです。

百舌鳥古墳群シアターではVR技術で上空300mからの俯瞰映像、CGによる石室内部の再現映像がみられたそうで、「4世紀後半から5世紀後半、大阪湾を行き来する航路の発着点に建設された」ことや、「傑出した古墳時代の埋葬の伝統と社会政治構造を照明している」という登録理由の説明などが付いていました。

改めて、その壮大さを感じると同時に、「大阪湾を行き来する航路の発着点」という説明文に目が行きました。その行き先は明らかに朝鮮半島。朝鮮に住む私としては、古代からの日本と朝鮮の親密な関係を改めて考えさせられました。それで歴史の本などを読み返したのですが、秋の夜長の読書のひととき、「古代のロマンに思いは馳せる」でした。

バラの花も冬支度

若林佐喜子 2019年12月5日

今年も残すところ1ケ月。先月末から、最低気温は零下の日々が続き本格的な冬到来です。白頭山をはじめ北部では雪がかなり積もり、ピョンヤンも今日(3日)、初雪が降りました。

朝鮮の冬支度といえば、キムチ漬け、二重窓への目張りと建物の入り口には風除け幕が登場。そして、植物への越冬準備です。

日本人村では、毎年、柿の木の根元を稲わらで覆いますが、今年は、バラの花も冬支度です。事務所前の小さなピンクのつるバラは、そのまま冬を越していましたが、今年、私たちの目を楽しませてくれた綺麗な真紅のバラの木は、初めての越冬。バラは寒さに強いのですが、つい心配になってしまう。代表団が先日まで滞在していたこともあり、ドライフラワーになった花の部分は見えるようにして、下の部分のみ稲わらに包まれて冬支度です。その姿がなんとも可笑しくて、冷気に身を縮めながらも、つい笑みがこぼれ心がほっこりに。

何かと忙しい師走、健康と事故に注意したいものです。どうか皆様も、お身体くれぐれもご自愛下さい。