赤木志郎
今年に入って、情勢が大きく転変している。
これにたいする対応として、アメリカ中心の覇権が当たり前としてきた政府系人物、評論家たちが呆然としているのに対し、一部の評論家が冴えた分析をおこなっている。
例えば、佐藤優氏(「中央公論」3月号「限界にきた日本の北朝鮮政策」)、浅井基文氏(ブログ「金正恩の電撃的訪中」「文在寅大統領の朝鮮半島平和構想」など)、武貞氏、李東埼氏(「週刊金曜日」4月6日号「トランプ会談次第で朝鮮半島は激変する」)などだ。
一方、大きな地殻変動を感じているけれど何がどうなっているのか分からないという人も多いようだ。とくにリベラル、左翼系の人たちの間にそういう人が多いのではないかと思う。
トランプが大統領になったときも驚くだけでその意味をとらえられなかった人々が多かった。
それで敢えて言わせてもらうと、問題は世界の大きな流れをどう把握するかだと思う。
すなわち、世界の動きの機軸を覇権と主権擁護との対立、闘いに求め、その上で主権擁護の勢力が台頭し、勝利しているというところに視点をすえるのが重要ではないかと思う。
この視点がなければ欧州で自国第一主義を掲げる右派勢力が反動のように見えるし、トランプが大統領選に勝利したこともサンダース支持層とトランプ支持層が重なっているのも分からなくなる。また、朝鮮半島情勢では、朝鮮がなぜ必死にアメリカに楯突くのか、南北の統一を民衆がなぜ切望するのかが見えなくなる。
その上で、なぜ覇権勢力と主権擁護勢力の対立が世界の動きの機軸になるのか。それは、世界を動かす人々にとってもっとも根本問題は、何に依拠し何を単位にして生活し運命を拓いていくかという問題であり、その答えが自己の民族であり、国家であるほかならない。
それだけに、民族と国家にたいする視点をもって、勤労人民の主権擁護の志向と要求を基調にて見ていくことが重要だと思う。