制裁の中での朝鮮の経済発展に思う

小西隆裕

最近、街を歩いていて目に付くのは、携帯電話、タクシー、電気自転車だけではない。それにも増して、どの食品店にも溢れるきれいに包装された朝鮮製加工食品だ。

私の朝鮮の知人たちが口を揃える「食料品革命」にも納得だ。その他に「靴革命」もある。安い上に、見栄えがよく丈夫になった。

制裁の中での経済発展。そこで明らかなのは、「科学技術」だ。社会全体にその熱風を感じる。皆がスマフォを持ち、企業所や大学、至る所に「科学技術普及室」や「電子図書館」ができ、張りめぐらされた国内ネットの中心には子ども達など誰もがいつでも利用できる壮麗な「科学技術殿堂」が建てられた。

だが、それだけではない。私が注目しているのは、「企業戦略」なる言葉だ。各企業所が原料、資材の調達から販路に至るまで自分たちで戦略戦術を立て、上げた成果は、一定量を国に納めた後、自分たちの戦略に沿って配分、分配する、自分たちの頭、自分たちの力による経済運営と建設が奨励されているということだ。

日本では、これを「市場原理の導入」「資本主義化」と言う向きもあるようだが、私は違うと思う。各企業所が国の経済路線、戦略に沿って、自分たちの企業運営、発展の戦略を自分たちで立てて遂行し、上げた成果を自分たちで配分、分配するのは、国の経済を担う担当者、主人としての各企業所、そこで働く従業員一人一人の自覚と役割を高めることに他ならないのではないか。

「科学技術」しかり、「企業戦略」しかり。人々の国の経済を担う担当者、主人としての自覚と役割を高めているところに、国の経済の自強力強化と国産化などとともに、覇権国家、米国による世界を動員しての制裁と圧力をもものともしない朝鮮経済発展の重要な秘密の一つがあるように思う。