人の情けを思う

赤木志郎

私たちの中で、昔から韓ドラを見ているのは私だけだ。日本の時代劇とともに韓ドラが好きだ。どちらも人情ものだ。

韓ドラでは、今、「商道」と「初恋」を見ている。「初恋」は最初の韓ドラというべき30年前のもっとも旧いものだ。「商道」も20年前のものだ。ともに濃い人間関係、家族関係を描いている。幾度も見たものなのに改めて見ていると、前に見逃していたエピソードが印象的にジーンと胸に来る。以前と感じ方が異なっているのだろうか。以前はドラマの展開を追っていただけだったような気がする。

父を助ける兄弟、姉と弟たちの助け合い、主人公を支える友人たちを描いた韓ドラを見ながら、自分の過去のことを想い出す。父母や友人にたいしこうした熱い情をもって接してしたのかという苦い思いだ。

ただ家族を養うために働きづめだった父と母、一緒に町工場をやらないかという父の誘いを断ったこと、大学に合格して父から困ったなあと言われたことに対しそんなことを言う親がどこにいるのかと思ったことなど、まるで父母の心情にたいし他人ごとだったと振り返る。

さまざまな友人にたいしも自分は何をしたのだろうかと、ドラマを見ながら想い出すのだった。

なぜもっと父母兄弟のこと、友人たちのことを考えてられなかったのか。結局、一人で走ってきた人生ではなかったのか。その思いを噛みしめながら、今日も韓ドラをみている。