小西隆裕
全世界注視の下に行われた先の南北首脳会談は、予想を超える一つの大きな「衝撃」だったと言える。これほど世界を驚かせ喜ばせた政治的事変も少ないのではないか。
とりわけ、朝鮮民族の人たちにとって、それはなおさらだったと思う。在日の朝鮮人学校の講堂を埋め、テレビに見入っていた学生たちの間からは自然と拍手が湧き上がり、目に涙を浮かべる子たちも少なくなかったという。韓国では、特に若い人たちの間で、あれ以来、ピョンヤン冷麺店が普段の二倍三倍の大繁盛だという。
そして朝鮮、私たちのまわりでも喜びは爆発している。私たちの世話をしてくれている管理所の人たちも「会談」を報ずるテレビの前に釘付け。その記録映画を、二度や三度ではない、四度も五度も観ながら、観る毎にさらに嬉しいと言っている。
その朝鮮の人々の喜びを、先日メーデーの日に行ったモランボン公園での野遊会は肌で感じさせてくれた。あいにくの少し雨のぱらつく曇天を吹き飛ばすかのように、公園を埋め尽くした家族毎、職場毎、等々の輪の間からは、焼き肉の香ばしい香りが立ち上り、そこここから湧き上がる歌や音楽の音に合わせた思い思いの踊りとおばさんたちの辺り憚らない笑い声が、その間を行き交う人々の波とともに果てしなく広がっていた。
そこには、明らかに、昨年までのメーデーにはないさらに大きな喜びが溢れていたように思う。