軍事分界線を防衛線とするか、平和地帯とするか

赤木志郎

朝米首脳会談後、米韓合同軍事演習の中止、在韓米軍の縮小の話で「とんでもないこと」「詳細を聞いていない」などと識者、政府関係者が騒いでいる。しかし、すでに軍事演習の中止は決まった。このはやいテンポでは、さらに終戦宣言、平和協定の締結とすすめられるだろう。まさに朝米敵対から平和と繁栄へ新時代の劇的な転換を目撃することになる。そのなかで、南北朝鮮の融和と交流も大きくすすむのは間違いない。

これまで軍事分界線を挟んで朝鮮と米韓が対峙してきた。アメリカは軍事分界線を「防衛線」(利益線ともいう)と設定し、在日米軍と在韓米軍、日本自衛隊、韓国国防軍が在日米軍の指揮のもとにあった。「防衛線」は、相手国にたいする軍事的脅威を与えるための口実のためだとしかいいようがない。

ところが今日、その「防衛線」である軍事分界線が「平和地帯」になりつつある。「分断の象徴」だった板門店が「融和と平和の象徴」になっていっている。

それを指して覇権の旧い思考方式では、「日本が最前線基地となり大変だ」と騒ぐだろう。
しかし、「防衛線」を「平和地帯」にすれば、日本の平和と安全もしっかり保証されるではないか。仮想敵国を作り、「脅威」を騒ぐより、平和な東アジアを築いていくために日本が先頭に立つことの方が重要だと思う。