「コンセッション方式」なるものの正体を考える

魚本公博

7月5日の新聞に「老朽水道 改修促す」の題目の下、水道法改正の記事があった。

現在、水道事業は市町村単位で管理運営されている。ところが財政逼迫で、法定耐用年数40年とされている水道管の更新が遅れている。そこで水道法を改正して、更新を促すというのが政府の口実だ(耐用年数を超える水道管は16年の調査で14・8%にすぎない)。改正の内容は、①(水道事業を複数の自治体による)広域連携で行えるようにする、②民間業者に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入する、というもの。

ここで問題だと思うのは、「コンセッション方式」なるもの。世界で「水」ビジネスを展開する米国の建設メジャー「ベクテル」などが日本の「水」を狙っていると言われているからだ。水は人間にとって必須不可欠のものであり、これを米国企業に握られるということになればどうなるのか。

野党は「安全で安価な水を安定して提供できなくなる可能性がある」として反対しているが、それ以上に問われるべきは、日本の生命「水」を米国に売れば日本はどうなるのかということであろう。しかも「コンセッション方式」では所有権は自治体が持ったままなので米国企業に日本の生命「水」を売ったという印象を薄めることができる。

そればかりではない、水道事業の経費は所有権をもつ自治体が払うという形になるという。まさに踏んだり蹴ったりの「方式」なのだ。

そして、政府は、この「コンセッション方式」を、水道だけでなく、地方自治体が管轄する他の分野でも応用しようとしている。7月5日に地方制度調査会(地制調)の初会合が開かれたが、そこでは新しい自治のあり方として、人口10万人以上の「中核市」を中心とした「連携中枢都市圏」(圏域)を打ち出している。それ自体、弱小自治体の切り捨て(全国市長会議なども「切り捨て」として反対)、すなわち地方自治の否定として重大問題なのだが、さらにここにも、コンセッション方式を導入しようとしているようだ。

すなわち、「AIを活用して圏域単位で行政サービスや公共施設、学校、医療機関を維持する」などという文面。水道法改正で言われた財政逼迫で行政サービスを維持できないという口実の下、自治体が管理運営している各種施設、学校、医療機関などなどの運営権を米国企業に売却するということであろう。

元々、安倍政権は「世界で最も企業が活動しやすい国にする」として、「国家戦略特区」を作り、外資導入策を進めてきた。カジノ解禁のIR(統合型リゾート)も、その運営には「ラスベガス・サンズ」などの米国企業が入ると噂されている。

このように見れば、水道法改正で浮上した「コンセッション方式」とは、自治体が管理運営している行政サービスの各種分野の運営権を米国企業に切り売りし、それによって地方そのものを米国に売り渡すものであり、それを「新しい自治のあり方」として提起しながら、「地方から国を変える」国家戦略として、日本という国全体を米国に売り一体化させる、その重要な手段として活用されようとしているということではないか。

米トランプ政権の新しい覇権戦略の下、安倍政権は、日米一体化を新たな次元で深めようとしている。それでよいのか。それしかないのか。今こそ、日本という国を単位にして、この国をどうするのかを考え、そうした観点から地方自治、地方再生なども考えていかなければならないと思う。

「東北アジア新時代」の名でそれらが行われるとすれば、民意が求める真の「東北アジア新時代」に合う日本のあり方はどうあるべきなのかを考えていくこと、それが今切に問われていると思う。