【今月の視点】「エゴ」「独裁」「ポピュリズム」の時代?

小西隆裕

現代を指して、「エゴの時代」「独裁の時代」「ポピュリズムの時代」などということが多い。その代表選手は、もちろんトランプだ。

だが、「トランプ」だけではない。「プーチン」「習近平」「金正恩」「アサド」「エルドアン」、それに最近では、メキシコ大統領選で地滑り的大勝利した「ロペスオブラドール」、等々、きら星のようなスター選手に事欠かない。

そこで思うのは、こうした傾向がなぜ世界的範囲で、しかも何年も、ますます勢いを増しているのかと言うことだ。
当然のことながら、「エゴ」や「独裁」を支持する国民はいない。国民が支持するのは、自国の国益を第一にし、主権を守る政治だ。
トランプが米国内、特に共和党支持者の間で根強く圧倒的な支持を得ているのも、「アメリカ・ファースト」を掲げ、米国の国益第一に、その権力を行使しているからだ。

だが、ここで考慮すべきことがある。それは、トランプが言う「アメリカ・ファースト」には、一般的な自国第一主義とは異質な決定的差異点があるということだ。
それは、一言で言って、「アメリカ・ファースト」がどこまでも米覇権のためのものに他ならないということだ。

自国の国益を他国に押しつけ、世界の利益に背反する、国益ならぬ「エゴ」、世界各国の主権の上に君臨する、主権ならぬ「覇権」、民意に応えるのではなく、民意を利用する、民意ならぬ「ポピュリズム」「独裁」、それがトランプの言う「アメリカ・ファースト」だ。

この二つを一緒くたにして、現代を「エゴの時代」「独裁の時代」「ポピュリズムの時代」などと言うのは間違っているのではないか。
両者は同じであるどころか対立している。国益か米国のエゴか、主権か米覇権か、民意か「ポピュリズム」・独裁か。言い換えれば、国益、主権、民意第一か、「アメリカ・ファースト」かの対立だと言うことだ。