外国人労働者に依存しない態勢へ

赤木志郎

外国人労働者の受け入れを拡大するために外国人在留期限を5年に拡大し、禁止されていた単純労働の外国人を建設、農業、宿泊、介護、造船の5分野で受け入れることにしている。

今回の在留期限を延長するのは、「技能実習生」「留学生」以外に新たに外国人単純労働者を受け入れるための措置であり、「技能実習生」「留学生」以外に5分野で2025年までに50万の外国人労働者を受け入れることをめざしている。

人口減少の結果、労働力が不足し、外国人労働者を拡大させることは不可欠だとずっと以前から言われ続けてきた。昨年の外国人労働者総数127万人で、とくに建設、介護、流通部門では外国人労働者がなくてはならぬ存在となっている。

しかし、約26万人の「技能実習生」という名の低賃金で働かせる制度はそのままだ。留学生のアルバイトも28万人と多い。建設、介護、流通に外国人が多いのは、低賃金の重労働のため日本人労働者が就職しないからだ。人手不足から外国人労働者の需要は製造業、農業など全分野に広がっている。多くはベトナム、ミャンマーから来た人々だ。

労働力問題は人口減とともに、介護、流通、建設産業などの賃金が低いところに根本原因がある。必ずしも外国人労働力に依存しなければならないのではなく、低賃金搾取を維持しようとする産業界に問題がある。

今回の措置は、結局、根本問題である人口減問題を解決せずに、低賃金搾取の外国人労働者を大々的に拡大していくものであり、日本の底辺産業が外国人(主にアジア諸国)に担われるようになる。現在すでに256万人の在留外国人の半数以上が企業に所属しない単純労働の移民となっており、いっそう外国人労働者層が増えていくのは確実である。

それは、移民大国のアメリカや欧州各国の轍を踏むものではないか。日本という国が日本国民の国でなくなっていき、その反動として外国人・移民排斥の動きが生じ、国が分断されるということは明らかである。

それゆえ、外国人労働者を拡大するのではなく、人口減にたいする国家的対策を講じる一方、労働条件を改善し低賃金構造を是正すための国家的支援対策を講じ、高齢者や女性なども安心して働けるようするなど、できるだけ日本国内で労働力問題を解決していくべきだと思う。