沖縄県知事選が教えてくれたこと

小西隆裕

先日、沖縄県知事選での玉城氏の大勝は、大方の予想を超えていた。メディアはもちろん、圧勝を期し、かさにかかって攻め立てた自民党も、あの選挙上手の公明党も、まさか自分の足下から票が大きく崩れるとは思っていなかったのではないか。

なぜ予想ははずれたのか。

それを解く鍵は、選挙運動の途中まで盛り上がりに欠けていた玉城陣営の勢いが、「翁長さんの遺志」を闘いの前面に押し出してから圧倒的なものに変わったところにあると思う。

「翁長さんの遺志」、それは沖縄の心だ。県民葬で発言した菅官房長官に罵声が浴びせられたのも、「沖縄のことを思ってもいない者が何を言うか」ということだったに違いない。

今政治に求められているのは、自分たちが生きるところ、生きる国を心底から愛し、そのために尽くすことなのではないか。

先頃、海の向こうドイツでも、十数年の長きにわたり政権を維持しその権威を世界に誇ってきたメルケルの与党が大敗し、「極右」が台頭した。

これも、「沖縄」に通じるものがあるのではないか。求められているのは、自分たちが生活するところ、国を愛しその治安や雇用を図る政治なのであって、難民を嫌い排斥すること自体では決してないと思う。

今求められているのは、自国第一の愛国、愛郷の政治だ。沖縄やドイツの選挙の結果は、そのことを教えてくれていると思う。

沖縄県知事選、そしてその後の沖縄各市や君津市などの市長選勝利の後を受けて、来年の統一地方選や参院選に向け、野党共闘の機運が生まれてきていると聞くが、そこで問われているのも、まさにこのことなのではないだろうか。