「愛国心とナショナリズムは正反対」

小西隆裕

先日、仏大統領マクロンがこの間の欧州における「自国第一主義」気運の新たな高まりを前に言っていた。「愛国心とナショナリズムは正反対だ」と。

今日、欧州だけでなく世界的範囲で高まる反グローバリズム・自国第一主義の気運は、メディアなどにより「極右」ナショナリズムと言われてきた。確かに、この運動の先頭に「極右」政党が立っている場合が少なくないのは事実だ。

しかし、最近、自国第一主義の国民的運動と「極右」団体を分けてみる見方が広がってきているのも事実ではないだろうか。

実際、国民が求める「自国第一主義」は、排外主義ではない。自国政府による政治が、グローバル大企業の利益を優先し、自国の利益を疎かにしていることへの怒りだと思う。

移民、難民の問題にしても、それを生みだしている世界的な経済停滞、テロと戦争の根源は放置し、外国人労働者による人手不足の解消、低賃金を求めるグローバル大企業の要求ばかりを政府は聞いている。それにより、国の労働環境は劣悪化し、人手不足の根源、少子化は止まるところを知らない。

こうした現状への怒りをどうして排外主義と言えよう。自分の国をもっと大切にしよう。この切実な声は、自らの祖国を捨てざるを得なかった移民、難民の人々への同情、思いやりにも通じていると思う。

「愛国心とナショナリズムは正反対」の意味について考えてみた。