赤木志郎
日本でもっとも季節感を感じるのは春や秋ではないだろうか。衣替えするときや自然が色とりどりの美しい季節に実感する。朝鮮の場合、いっせいに花咲く春もあるが、私はむしろ冬に向かい冬服に着替えるときの方が季節の移り変わりを感じる。
夏の暑さは日本とそれほど変わりないのに、冬が日本より寒いため冬服も3段階くらい(厳冬期、中冬期、初・末期)に分けて必要となる。一方、春秋服は1-2週間着るか着ないかだ。
10月から11月にかけて冬モードに入る。その始まりはキムチ漬けだ。11月中旬、白菜を満載したトラックが駆け巡り、各家庭でキムチ漬けがはじまる。日本人村食堂にもすでに白菜が到着している。今年はまだなかなか零下にならないので、寒い日におこなうキムチ漬けがうまくできないかもしれない。ちょっと心配だ。
数十年前までと異なる点は、キムチ工場で作られるキムチが美味しく、種類も豊富になったことだ。商店、市場の各所で売られていて、私もそのキムチを買っている。いろんな野菜を買っても料理上や量からして多くは冷蔵庫に眠らせ無駄になる。キムチさえあれば冬は過ごせる。
最近、白キムチという赤い唐辛子がはいっていないキムチも出回っている。日本で言えば、白菜漬けだ。日本で下宿生活しているとき、毎日のように買って食べた。それと同じもの、というよりもっと発酵した白菜漬けが、白キムチだ。朝鮮にいてもどこか日本に近いものを捜し求めているのかもしれない。
白キムチ故国の匂い嗅ぎ分けり