【今月の視点】左右の枠を超えたフランス大デモと「新しい政治」

小西隆裕

今、フランス全土を大デモンストレーションの波が揺るがせている。

燃料税引き上げに反対する闘いだ。

マクロン大統領は、財政健全化とエコカーへの転換、一石二鳥を狙ってガソリン税を引き上げた。それがエコカーを買える富裕層のための税制だということだ。

「マクロンは金持ちの味方なのか」という怒りが爆発している。

デモは、右も左もない。全国民的なものとして広がっている。

一時は60%を超えたマクロンへの支持率は、26%に激減した。

先の米中間選挙もそうだった。

格差に反対する人々の怒りが「共和党対民主党」という従来の米政治構造を換えた。

今や「トランプ党対進歩党(プログレッシブ)」の対決だという。

「旧来の共和党、民主党の穏健派、中間層がなくなった」、「アメリカ社会の分断だ」と言われている。

だが、果たしてそうか?

プログレッシブのスローガンは、「格差反対」とともに「分断反対」だ。

トランプ支持者の間にはサンダース・プログレッシブに共感を示す人が多い。

怒りは、左右等しく、「1%」のための旧来の政治、政治家に向けられているのではないのか?

問題は、「99%」の間の「分断」にあるのではない。

左右の枠を超える「99%」全体のための政治こそが求められているのではないか?

それこそが、グローバリズム、新自由主義が生み出した現代「格差社会」が求める「新しい政治」だと思う。