サーカスと水産物食堂

赤木志郎

山中訪朝団とともに皆でサーカス劇場と水産物食堂に行った。サーカスは5年ぶりくらいだ。完成度は高くひとつの失敗もなくこなしていた。出演者も愛嬌のある美人だし、若い男性も笑顔を振りまいていた。後ろに陣取っていたオバサンたちがはらはらする演技のたびにワーッ、ワーッと声をあげていたのが面白かった。大衆娯楽として定着している。はじめて訪朝するなら一度はお勧めしたい。

テドン江に面した水産物食堂は、一階にはチョウ鮫などを泳がせ、2階が食堂、商店になっている。文在寅大統領が庶民的な食堂で食べてみたいという要望で来た食堂でもある。

食事は鯉の一種(リョンジョンオ)の血を健康に良いとして飲むことから始まり、そのさしみ、寿司、鱒、そして最後にチョウ鮫の冷麺というコースだった。訪朝団の方々もおいしいと喜んでいた。私は魚類が苦手なので少しずつ頂いた。最後の冷麺は、味はおいしいのに量が多すぎてたべきれなかった。最後の〆だから50g程度が良いのに200gのものしかないという。TVで紹介されていた時、皆、平らげていた。朝鮮の人は冷麺用の胃は別にあるというくらいだから多くても食べてしまうのだろう。

サーカスの演じ方もそうだが、食堂での接待も情のこもったものだ。金でサービスや食べ物を買う人と提供する人の関係ではなく、サーカスや食べ物を楽しむのに奉仕され奉仕する、そこに喜びを含んだ情も交じわっている。この数年間、経済建設で大きな飛躍を遂げる一方、サービスの面でも高い水準に達したのではないかと感じた。そんな数日間だった。