干し柿の季節です

魚本公博

日本での冬の風物詩の一つ「干し柿」。ここ朝鮮でも「干し柿」が市場に出回り始めました。

寒さの厳しい朝鮮では甘柿は出来ず全部渋柿。ですから、朝鮮では柿は渋抜きするか干し柿です。今年は夏が暑かったせいか、柿も豊作だったようで、10月には渋抜きの柿が、今では干し柿が大量に出回っています。

この渋柿でさえ、共和国では暖かな元山(元山市の南隣のアンビョン郡のアンビョン柿が古来から有名)やケソン近辺など南部に限られていました。それが段々と北方でも栽培されるようになり、90年代には、我々の村にも10本ほど植えられていました。ところが零下15度以下の日々が何日も続くような酷寒の年には、枯死してしまいます。それでも春になれば根本から芽吹いて再生することもあるのですが、そうしたことを繰り返すうちに、今ではかろうじて3本ほどが生き残っているといった状態です。

柿は「日本が世界に誇る日本の果物」で、欧米では「kaki」と呼ばれるのはご存知のとおり。日本原産か中国大陸原産かで意見が分かれているようですが、原産地ほど種類が多くなるという「原理」から見ても、日本では昭和初期で800~1000種にも及ぶ柿があったそうですから、やはり日本原産地説に軍配があがりそうです。

私は九州出身(大分県・別府市)なので柿は身近な果物。ですから甘柿はなくとも渋抜きの柿で十分に美味く大好物です。そして干し柿。出回り始めの頃の柔らかい干し柿もまた格別の味です。

こちらは最低気温が零下数度になり、目の前のテドン江も凍結。それでも日中は零度以上という日々が続いていますが、これからどうなることやら。生き残った村の柿に「がんばれ」と声を掛けたくなるこのごろです。