「日本のサッカー」から、何かが見えてきた

魚本公博

サッカーのアジア杯が首長国連邦(EAU)の首都アブダビで開催されている。森保ジャパンの公式戦の初陣。予選では無敗の1位突破。期待は膨らみます。

見所は「日本のサッカー」、その方向性がどのように示されるかでしょう。

新年1月8日、NHKの正月番組でやっていた岡田武史と西野監督の対談でも「日本のサッカー」を如何に作り上げていくかが話題になっていました。そこで幕間出演の田嶋日本サッカー協会会長も「Japan Way」で行くと。

前年の番組でも同じように岡田、永井、ラモスの対談がありましたが、その時の話題も「日本のサッカー」。とくに外国人監督の是非をめぐって。外国人監督否定論者の急先鋒はラモス。彼の言い分は、外国人監督は「日本サッカーを知らない」ということであり、そんな監督を呼んできても日本サッカーの発展にはならないと言いながら「ザッケローニ(ブラジル大会の監督)なんて、最初から見る気もしなかったよ」と言っていました。

ロシアWC直前のまさかのハリホリッヂ監督の解任と西野監督の就任もそうした意図があったようです。その結果は。予選リーグでのコロンビア戦での勝利などの「番狂わせ」を演じての16強進出。決勝リーグ初戦でも優勝候補の一つであったベルギー相手に2点先取の善戦。「日本サッカー、ここにあり」を世界に印象づけました。

そして後を託された森保ジャパン。岡田―西野対談では、「ボイチ(森保監督のあざな)は選手の良さを引き出すのが上手い」と言っていましたが、今回のアジア杯でも、その側面が良く出ていると思います。

堂安、南野など若手の活躍。抜擢した富安などの前を向いての積極的な動きなど。各人が自分の良さを発揮しての伸びのびとした動き。そうした個々の動きが全体的に連動する躍動感あふれる展開。

私自身は、日本人の良さは、組織性、勤勉性と機敏さにあると思います(これ誰もが言うことですが)。その反面、言われた通りにやるだけの創造性の欠如、勤勉性に酔ってるかのような意外性・打開力のない消極的なボール回し、どん欲で泥臭さよりも「美しさ」に惹かれるかのような試合運び、などなどの問題も感じていました。

森保ジャパンがどのように「日本のサッカー」を作っていくのか。日本人の特性を生かし、個々が躍動し、全体としてそれを評価し支えることでチームが生き生きとしてくる。そして、そうしたことを実践できる若手の台頭。

日本サッカーが躍進することで、政治を始めとする日本の全ての分野でそうした気運が盛り上がっていくことを期待しています。