人民投票、これこそ新しい政治の形では?

魚本公博

フランスの黄色いベスト運動。昨年の11月17日に始まった、毎週土曜日に行う、抗議運動。「アクト18」として18週目、開始から4ヶ月目に突入。

この運動は、組織があるわけでもなく、SNSを使って大衆が思い思いに参加するところに特色があるが、そうした中で、彼らは、さまざまな要求を発信している。その中で私が注目するのは「人民投票」の要求。

それは次のようなもの。「人民投票の規定を憲法に盛り込むべし。わかりやすく使いやすいウェブサイトを設けて、独立機関に監督させ、そこで人々が法案を出せるようにすること。支持の署名が70万筆に達した法案は、国民議会で審議・補完・修正すべし。国民議会はそれを(70万筆達成の1年後)全フランス人の投票を受けるよう義務づけるべし」

沖縄でも辺野古基地建設の是非を問う住民投票が行われ県民は「ノー」を突きつけた。しかし安倍首相は「後事継続」を表明して、これを無視。

住民投票に詳しい武田真一郎(成蹊大学法学科大学院教授)さんは「直接民主主義によって間接民主主義の機能不全が修正され本来の機能が回復する」と述べている。しかし、最近の「住民投票」の要求は、間接民主主義の機能不全の修正という要求を越えているし、安倍首相の「無視」のような対応を許さないものとなっていると思う。

それは、これまでの民主主義、とりわけ政党政治、代議員制といったものが最早、時代に合わないものになっていることを示しているのではないか。

英国のEU離脱を向けた混乱などを見てもそう思う。今や民意の時代、それに合う新しい政治の形。その具体策として、人々が法案を出し、それを政策化していく手段としての住民投票、国民投票としての要求。大いに歓迎すべきことであり、注目すべき動きだと思う。