私がサッカー英プレミア・リーグを愛する理由

若林盛亮

私はいま人知れず「万歳三唱」を叫んでいる。

その理由は、W杯より価値があるといわれる欧州プロサッカークラブの頂点を競うUEFA CL、欧州プロサッカー、チャンピオンズ・リーグ戦の決勝トーナメントで英プレミア・リーグのLiverpoolが強豪、独バイエルン・ミュンヘンを破って準々決勝進出を決めたからだ。Liverpoolのことを話し出すとサッカー・フリークしかわからない話になるのでここでそれは控える。

あと一つ、英プレミア・リーグ所属の4チームが準々決勝進出を決めたことも、人知れず私が喝采を叫ぶ理由だ。

長らく英プレミア勢は、UEFA CLでは優勝はおろか上位進出もできない時期が続いた。それはこのリーグの過密日程による選手の「金属疲労」によるものと言われてきた。今期、4チームが優勝を狙う位置にまで来たことは奇跡に等しい。

この奇跡が起きたのは偶然ではない。その奇跡の要因を私なりに考えた。

第一の要因は、懸案だった「金属疲労」問題を克服したことだ。

英国プレミア・リーグの特殊性として年末年始のクリスマスから新年にかけては過密日程が組まれ、これが選手に負担を強い「金属疲労」の原因となってきた。サッカー母国、英国ではクリスマス翌日、26日を「ボクシング・デー」と呼び、リーグ戦の試合を継続しサッカー・イベントも開催される。これは日々働く人たちに「仕事を忘れてサッカーを楽しんでください」というプロ選手からの「クリスマス・プレゼント」との意味合いもあるとか。とてもいい伝統だと思う。でも他方で欧州の他のクラブの選手たちがクリスマスと新年の休暇を楽しんでいる時にも英プレミアの選手はいつもより激しいゲームを年末、年始に戦うことで疲労が蓄積、負傷者も出やすい。これがUEFA CLで英国勢が長らく上位に食い込めない理由だった。

これをどう克服したのか?

今回、準々決勝進出を決めた4チームは「選手層の厚さ」でこの欠点克服に努めた。試合ごとに選手のローテーションを施し、一人にかかる負担を軽減する、その代わりに起用した選手に合わせた細やかな戦術変更が必要になる。これは固定選手起用で安定したゲーム展開をするのに比べ監督には大きな負担を強いる。だから監督の選手起用術と戦術錬磨の力量が問われる。結局、これをやりきったのがこの4チームだということ。

もう一つの奇跡の要因は、このリーグ全体が不断の切磋琢磨を要求されるリーグだからだ。

スペインではバルセロナとレアル・マドリッドの二強、独はバイエルン・ミュンヘンの一強、イタリアもユベントス一強体制と他チームとの格差が激しすぎて試合も面白くない。英プレミアも四強とも六強とも言われるが、毎年、優勝争いは熾烈だ。また下位チームだとて侮れない力を発揮、時折「ジャイアント・キリング」、強豪を倒したりもする。だからどこのチームとの対戦も迫力があり面白い。

この要因はチーム間「格差」が大きく開かない方策がとられているからだ。

莫大な収入源であるTV放映権料が各チームに平等に分配され、これが下位チームの資金力を支え、選手補強でそれなりの「平等」が一定程度、保障される。ひどい格差がないからどのチームも侮れず、強豪も緊張した試合を毎回、強いられる。だから英プレミアの強豪は日々、鍛えられる。一強、二強体制に馴れた他の欧州クラブ・チームにはそれがない。

今回、準々決勝進出の8チーム中に英プレミアから4チームが入ったというのは奇跡ではあるが、決して偶然ではない。不断の努力と工夫の産物だと私は思う。

昨年のLiverpoolの試合のDVDを時折、「復習」するがいま見ても面白い。

私の英プレミア愛はもう誰も止めること不可能!