「同一」と「差異」

小西隆裕

養老孟司さんが文藝春秋3月号で面白いことを書いていた。

人間は、「同一」をもって物事の判断をし、動物は、「差異」をもってするというのだ。

人間は、「同じ」という概念を獲得して、相手の立場に立つことができるようになり、言葉や等価交換、民主主義を生み出した。

そこで思い出したのが、責任者だった田宮さんがわれわれ新左翼の運動について言っていたことだ。

「われわれは、他党派との差異点を見つけ出して自らの優越性を示そうとし、共通点ばかり見つけ出して団結しようとしなかった」。

今日、米国のプログレッシブやフランスの黄色いベスト運動、そして沖縄の闘いなど「新しい政治」「新しい闘い」は皆、分断、分裂に反対し、つながりを求め、連帯、団結を求めている。

まさにここに、今日の運動のかつての運動からの大きな飛躍、本質的な発展が示されているのではないだろうか。