日本の水道を「世界遺産」に

魚本公博

朝日の4月9日の「私の視点」欄に「公営維持で安全な水守れ」と題する鳥取大教授 藤井潤(細菌学)さんの文章が載っていた。

氏は、水道民営化を促進する新水道法が10月から施行されることに関連して「世界一と言える、安全、安心でおいしい水道水」を守れとしながら、「コンセッションで何でも解決できるという幻想を振りまいている」が、水道を民営化すれば業者との結びつきは一層深まるのであって、そうなれば「世界一」の水道は守れないだろうと危惧し公営維持を主張している。

藤井氏がこの文章を投稿したのは、今回の統一地方選で大阪府の新知事になった吉村洋平氏が「水道民営化」論者であることに危機感をもったからだと思われる。

先に私は、東京都でも小池知事が、特別顧問だった野田数氏を東京都の水道局の外郭団体「東京水道サービス」(TSS)の社長に天下りさせたことを批判する文章を書いたが、こうなれば、東京と大阪で「水道民営化」が進められる体制が敷かれたことになる。

コンセッション方式の問題は、単に民営化にあるのではなく、その民営が外資であり、それに委ねる・売ることが最大の問題だ。そして、この方式は水道事業に止まらず、自治体が関与する全ての公営事業の民営化にまで及ぶ。すなわち地方の公営部門を外資に売ることで地方を売り、それによって国そのものを外資に委ね・売る。こうして日米一体化を促進する。そこに目的があると見るべきだろう。

ただ、この水道民営化。今回の大阪での選挙を見ても、それは焦点にされていないし、それを焦点にしていくことは難しい面がある。

そこで私は、藤井氏が日本の水道は「世界遺産に匹敵する」と述べていることに注目したい。実際、日本の水道は「世界遺産」に匹敵する。日本の水は多く「銘水」級であり、その清らかで美味く豊富な水を利用しているのが日本の水道だ。まさに日本の自然・国土がもたらす「世界自然遺産」。そして神田上水、多摩川上水など日本全国の歴史的な上水網。それにまつわる伝説や人々の営みを育んできた「世界文化遺産」。

ここはからめ手から「世界遺産」登録の運動を展開してはどうか。少なくとも、そうした観点。すなわち日本の水、水道水は世界でもまれに見る、失ってはならないものだという観点から、それを外資に委ねる愚かさを知り、公営維持を主張することは非常に意味があることではないかと思うのだがどうであろうか。

これから市町村選挙という統一地方選の後半戦が始まる。地域住民生活により密着した市町村段階で、そうした議論が巻き起こることを期待したい。