電気髭剃り

赤木志郎

毎朝、剃刀で髭を剃るのが面倒で電気髭剃りを捜してみた。時々使っていた電気髭剃りの刃が壊れていたのだ。

国内百貨店を見ると40ドルで安いブラウン製を売っている。随分安くなったのだと思った。別の店で9ドルの中国製が売っているのにちょっと驚いた。安くても性能が問題だと思った。5ドル弱の中国製も見た。試してまあまあだったので購入してみた。

家で朝、使ってみるとまるで剃れない。やっぱり安物はだめだなあ。5ドル弱のもので期待する方が間違いだと思った。ところが剃れないのは刃に透明のカバーがついていたのであり、それをはずして剃ると結構いけるではないか。

10年前ならこんな価格で電気髭剃りが購入できるなんて想像もつかなかった。アメリカはむろん日本でもこんな安価で性能の良い電気髭剃りを到底作れないだろう。

安価のものがいっそう高級品に接近していくのも時代のすう勢であろうと考えた。私には、これまで第三世界と言われた国々の力を感じさせる出来事だった。