朝ドラ-「咲莉・なっちゃん」、大好き!

若林盛亮

めったに朝ドラを見ない私がいま「なつぞら」を見るのをとても楽しみにしている。

高校生のかるた競技の映画「ちはやふる」のスチール写真がとても気に入って広瀬すずという若手女優に興味を持ち彼女が主演というだけの「不純な」動機から見だしたのだが、いまはドラマの世界に入れ込んでいる。

米軍の東京大空襲で母を失い、父は戦死、兄妹と三人が戦争孤児となって上野駅界隈を浮浪する、その姿が野坂昭如「火垂るの墓」の兄妹の悲劇、餓死した兄のドロップ缶に入った妹の小さな骨が缶からこぼれ出て無数の「火垂る」になって天に舞い上がる、あの感動のシーンと重なってつい涙してしまう。

毎朝、見続けているうちに幼少時代の「なっちゃん」役の粟野咲莉ちゃんの「名」演技に徐々にはまっていった。戦争孤児の悲劇などまったく実感できない二一世紀生まれの咲莉ちゃんが必死に演じる「なっちゃん」がとてもいい。決してこなれた名優の自然体の演技とは言えない、むしろ学芸会っぽい「演技してます」という演技だ。でも他人の家に引き取られ、そこで必死に生きる戦争孤児「なっちゃん」、そんな「必死のなっちゃん」を演じようといつも一生懸命の咲莉ちゃん、ドラマの主人公同様、演技自体も「必死」、そんな懸命さに惚れたのかも・・・。こんなことは初めての経験だ。

極め付きは「おじいちゃん大好き!」と柴田家の怖~い頑固祖父、草刈正雄に抱きつくシーン、これだけでもアカデミー賞もの演技! 

「子供の言うことだからこそ聞くべきじゃないのか!」という意外な言葉で級友の苦境を救ってくれた頑固祖父に「なっちゃん」の感情は大爆発、その爆発表現-「おじいちゃん大好き!」と抱きつく劇的シーン、これを演じきった「咲莉・なっちゃん」! 子供にこんな感動を与えられる「いい爺さん」になりたいと本気で思った。

今週からは、「なっちゃん」も大きくなった広瀬すずに代わる。本命は広瀬すずだったはずなのに、幼少時の「咲莉・なっちゃん」に入れ込んだので、「すず・なっちゃん」の影が薄くならないか心配だ。

だから「すず・なっちゃん」、頑張ってね!