国を挙げてのイノベーション

小西隆裕

最近、朝鮮のテレビを観ながら気付くことがある。

「国を挙げてのイノベーション」だ。

支配人や職場長、若手労働者らが技術革新の先頭に立つドキュメンタリー。

彼らは、国の方針に従って「科学技術普及室」を自分たちの工場、企業所、職場に立ち上げるだけでなく、自分たち自身、その先端技術学習の先頭に立っている。そしてさらに、大学に行って学び研究を深めながら、自分たちの働き場の現代化、情報化、自動化、科学化、等々を職場の皆を感化して皆一体で推し進めて行っている。

ある工場の従業員皆が出演しての放送夜会。

そこに出てきた大学教授が驚きを持って言っていた。

一職場労働者たちが考案した技術革新の水準の高さ。世界的水準だと。

そうした中、次々と催される、あらゆる分野にわたる科学技術展示会、展覧会。

今、朝鮮の合い言葉は「自力更生」。

そのための鍵の一つが「科学技術」だ。

それが、職場末端から大学、研究所まで、分野、職域、単位を超え、自力、一体、ネットワークでつながれて革新されていっている。

かつて日本の大企業・工場などで盛んだったQC(品質管理)運動などとは一味違う、「国を挙げてのイノベーション」。

「自力更生」が「制裁」に対抗するための単なるスローガンでないことは、こうしたところからも肌で感じられてくる今日この頃だ。