東北アジア新時代への合流へ

赤木志郎

もともと東北アジア共同体建設については、南北朝鮮の対立が基本的な障害であり、南北朝鮮の統一が鍵だと言われてきた。それは、軍事分界線をはさんでの朝鮮対アメリカ、韓国、日本の敵対関係がある限り、東北アジア共同体構想の実現は難しいということだ。

ところで、昨年6月朝米首脳会談がおこなわれ、平和と繁栄の朝鮮半島を築くことで一致し、米韓軍事演習や核・ミサイル実験を中止したこと、さらに言えば、南北の融和が進んだことは、平和と繁栄の東北アジアの新時代を拓く画期的な出来事だった。

しかし、今年2月の朝米首脳会談が物別れに終わり、敵対ではなく友好の新しい朝米関係樹立に進むのではなく、朝鮮の武装解除をはかろうとする露骨な朝鮮敵視政策を続けることにより、平和と繁栄の東北アジア新時代の進展に大きく水をさされた。

だからといって、大規模な米韓軍事演習が再開されるのでもなければ、核・ミサイル実験が行われるものではない。歴史は昨年6月に大きく平和と繁栄の東北アジア新時代に向かって進み後戻りはありえない。

今後、朝鮮の自力更生をかかげた自立的経済建設の推進、朝ロ、朝中経済協力の発展、さらには韓国の北との交流強化が進み、東北アジア共同体建設が力強く促進されるのは間違いないと思う。そのことを朝ロ首脳会談や近くあると言われている習近平主席の訪朝が示している。東北アジア共同体へ大きく前進するのが目に見えている。

これにたいし、日本政府は傍観視している。アメリカの顔を伺っているだけで、何もしない。というより日朝首脳会談の実現を追求しているようだが何もできない。そうであれば、日本が時代の流れにますます取り残され、アジア諸国からの孤立を深め、いっそうアメリカにたいする従属、日米一体化が強まるだけだ。

明治以来、現在まで続けてきた「脱亜入欧」路線の帰結は、アジアの一員である日本という国の消滅ではないか。

しかし、日本はアジアの一員だ。アジアを離れて日本という国はありえない。欧米諸国の一員となろうとしても、たとえ英語を標準語にしても、「名誉白人」=不名誉アジア人として蔑視を受け日本人としての誇りをうしなうだけだ。アジアの一員として独自のスタンスを確立してこそ、アジア諸国の平和と繁栄に寄与でき、欧米諸国との真の友好関係も築くことが出来る。その試金石が、平和と繁栄の東北アジア新時代の潮流に合流していくかどうかだと思う。