Water

赤木志郎

ヘレン・ケラー女史の生涯を描いた映画を観て、盲・聾(ろう)・唖(あ)の三重苦をもった女史が、モノに概念(名前)があり最初に発見した単語が水(water)だったという場面が一番、感動させる。それをきっかけにヘレン・ケラーは次々と言葉を覚え、大学を卒業するまでにいたる。女史の克己心、向学心で有名な話だが、私にはなぜ水(water)がきっかけだったのかを考えさせられた。

そういえば、人間をはじめすべての生物が海から生まれた。海や川、湖水を見ていると心が落ちつくのものだ。日本にいるときは神戸で海をいつもみていた。朝鮮に来てからはいつも大同江を眺めている。人間の身体も70%は水分だ。災害に遭ってまず確保しなければならないのは水だ。それほど人間にとって、ひいてはすべての生物にとって水は身近で大切なものであり、生命の源だ。

普段はその貴重さに気づかず、振り返ってみると大切なものが身近なところにいっぱいあるのではないかと思った。