【今月の視点】「新しい政治」

小西隆裕

英国の世論調査で、ブレグジット党(英EU離脱党)が30%以上の支持を集め、労働党の20%、保守党の10%を抑え、断然1位になったそうだ。

周知のように、これは英国だけのことではない。今や、世界中どこでも見られる現象になっている。

すなわち、これまでの政治が国民的、大衆的に否定され、新しい政治状況が生まれてきているのだ。

これについて、いろいろと分析、解釈がなされている。やれ、左右のポピュリズムだ、極右、極左の台頭だ、等々。

そこで言えるのは、その多くが過去の事例を基にしての類推だと言うことだ。

もちろん、歴史は繰り返されると言う。

しかし、歴史が進展し、かつてなかった情況が切り開かれるのも事実ではないだろうか。

今日、国民大衆の意識の高まりは、かつてないものだと思う。

誰かに代わって政治をやってもらうというのではない。自ら政治を握ってやっていく、直接民主主義への要求。

住民投票、国民投票への要求の高まりや既存の政党、政治家への不信感の増大などは、その現れに他ならないのではないか。

この意識の高まりがSNSの発達と一体となり、現実の政治に具現されて来ている。

もう一つかつてなかったこと、それは、覇権の崩壊だ。

これまで世界は、多かれ少なかれ覇権の下にあった。英米の覇権があり、地域的には、ドイツ・EUや中国、ロシアなどの覇権があった。

しかし、それが今、音を立てて崩れてきている。もはや世界は、覇権国家が左右する時代ではなくなった。

この覇権・国際秩序の転換、それが古い覇権政治の崩壊と新しい自国第一、国民第一、そして国民主体の政治への転換を生み出してきているのではないだろうか。

自民党長期政権が続くわが日本にあっても、かつてない政治不信の深まりの中で、沖縄をはじめとする地域・住民第一、住民主体の新しい地方政治への要求の高まりなど、「新しい政治」への夜明けが確実に近づいていると思う。