今年の雉(キジ)は逃げない

小西隆裕

今年と去年までとで違ったことがある。

それは、雉が逃げなくなったことだ。

去年までの雉は、道を歩いて行く私との距離が近くなると、いくら度胸のあるやつでも、歩く速度を速めて横の茂みに入ったものだ。

ところが今年は違う。距離が縮まっても速度を変えない。すごいやつは、私が通り過ぎるのをゆっくり歩きながら見ている。

これは、この村に棲む雉のDNAが変わったのか、はたまた、私がなめられる度合いがひどくなったのか。

どちらか一つだと思うのだが。