You’ll never walk alone

若林盛亮

私が熱狂的なサッカー英プレミア・リーグ所属のリヴァプール・サポーターであることはこの欄で耳にたこができるほど聞かせてきたと思う。その私が、驚喜! とガックリ! との間で揺れ動いている今日この頃。

まず驚喜!

UEFA CL(欧州チャンピオンズ・リーグ)、世界から最高の選手を集める欧州プロサッカーの、いや世界サッカー界の頂点に立つことを競う大会、サッカー・ファンなら世界最高レベルのサッカーを見ることができるという意味でW杯より上位とする大会だ。

このUEFA準決勝戦で、リヴァプールがメッシ擁する世界最強豪のバルセロナFC(バルサ)を大逆転劇で破ったのだ。

試合はホーム&アウェー方式、2回戦での合計得点数で決められる。リヴァプールはバルサのホームで0:3の大敗を喫した。これを覆すには最低限、4点差が必要だ。しかも「世界最強の3トップ」と言われる攻撃の要、サラーとフェルミーノを負傷で欠いてのゲームを強いられる。申し訳ないが、私は99%がた勝利を諦めていた。

ところがホーム・スタジアム、アンフィールドのサポーターの伝統的シャント(応援歌)“You’ll never walk alone”大合唱が鳴り響く中、主力欠場で若手が躍動、結果は何と4:0勝利。私はじめおおかたの「予想」を裏切る大逆転劇を演じたのだ。この大逆転劇をサッカー各紙は「歴史的」の形容で大騒ぎした。

私を何よりも驚喜させたのは若手の台頭による勝利。大逆転劇を決めた4点目は二十歳のコンビから生まれた。コーナーキックを他の選手と代わろうとしたA.アーノルド君、ふとゴール・エリアを見るとノーマークの攻撃手オリギ君が視野に、それで足が本能的に動き我知らずオリギ君にパス、これが見事決勝ゴールとなったのだ。若干、二十歳の二人が奇跡を現実にした! 

私は考えた。あのメッシはじめ世界最強軍団のバルサに4点差をつけて勝つなどという奇跡中の奇跡を起こさせた要因は何か? 監督の戦術、選手の奮起いろいろあると思うが、私はホームのサポーターの大合唱、“You’ll never walk alone”にあるのではないか、少なくとも主力なき中、4点差をつけての世界最強豪打倒の奇跡を起こしてやる! と全選手、特に起用に応えた若手に一大奮起を促したのはサポーターの魂を込めた歌声“You’ll never walk alone”! 「君は独りじゃない(俺たちがついている)」だと確信している。

UEFA決勝戦相手は同じ英プレミアのトットナム。相手知ったる決勝戦だから、90%勝利を信じている。

そして私のガックリ!

ある意味、チーム最大の目標だった英プレミア・リーグ優勝をわずか「勝ち点1差」で、マンチェスター・シティに譲ったことには大落胆。終盤に入ってリヴァプールは引き分け試合が続き「勝ち点3」を取れず「勝ち点1」のオンパレード、対するマンチェスター・シティは連勝でついに首位を「勝ち点差1」で譲った。ここから最後の9試合を「勝ち点差1」を逆転させることに賭けたが、両者ともに9試合連勝で最終節を終え、結局「勝ち点差1」でリヴァプール悲願のリーグ制覇は成らず! 

私にはUEFAの驚喜よりもこのガックリの方が大きい。でもいつまでもガックリしてる場合じゃない。

“You’ll never walk alone ”! このサポーター大合唱を私も共にしながら悲願達成を祈る、来季、必ずリーグ制覇を!