北海道の酪農、守るべし

魚本公博

またまた朝ドラ「なつぞら」で恐縮ですが、ドラマの中で依田勉三という十勝の開拓者の名前が出てきました。それで早速辞書を見たところ、依田勉三は明治初期の北海道開拓者。慶応義塾に学び、自由民権運動の影響などを受けながら、北海道開拓を志し同志を募って晩声社を結成し十勝の開拓を始め、艱難辛苦の末に酪農の道を切り開いた人なのだそうです。

そこから、辞書探索は飛んで、黒沢酉蔵という人に行き当たりました。この人は北海道製酪販売組合(雪印乳業の前身)の創立者。青年時代、田中正造と出会って足尾銅山鉱毒事件の被害者救済運動に参加した後、札幌に移住し酪農を始め、周辺の酪農家を組織して「北海道製酪販売組合」を創立し酪農家による牛乳自主加工を実現。また「酪農こそが健土健民の母」として堆肥を活用する循環農法を提唱(以上、小学館)。

このようにしてみると、北海道の酪農の歴史には実に奥深いものがあります。下から力を合わせ、日本の風土に合った酪農、現代に通じる「循環農法」などを築きあげてきたものなのだということがよーっく分かりました。

安倍自民党政権は、そうしたものを大企業(製造業)のために、いとも簡単に切り捨て(TPP)、今、トランプが強要する「二国間貿易交渉」で、さらに米国の牛肉(狂牛病)、豚肉(抗生物漬け)、乳製品の輸入拡大要求を受け入れようとしているわけです。

「それはないでしょう!」。ドラマに出てくる十勝岳とその山麓の雄大な酪農地帯を見ながら、先人たちの苦闘、その意志を引き継いだドラマの「おじいちゃん」たちの苦闘と今。それへのリスペクトはないのか。ここは一つ、我々みながそうしたリスペクトをもって、北海道の酪農(農業)を守ろうみたいな声を上げるべきでは。そんな思いに駆られながら、今日も朝ドラを見ています。