韓国を「蚊帳の外」に?

赤木志郎

今回、トランプ訪日にかつてない歓迎をし「日米新時代」が謳われたが、他方、韓国はトランプ大統領の訪韓を要請しても断られ、G20大阪サミットに際する日韓首脳会談についても自民党内の反対が続出している。これをさして韓国が「蚊帳の外」におかれたと揶揄されている。元徴用工、慰安婦賠償問題や自衛隊機レーダー照射などで日韓関係の悪化が深まるなかで、日本ではもはや「韓国外し」にまでに傾いているといえる。

しかし、元徴用工、慰安婦賠償問題は具体的に検討すると、国同士で解決済みの問題ではなく、個人の賠償問題であり、しかも外務省が個人には賠償請求権があると認めてきたことだ。にもかかわらず、日本政府は「日韓合意」を盾にし、韓国政府の責任問題としている。ここから、日本国民の間でなぜ韓国は約束を守らないのかと被害者かのように感じとっている。これにたいし、韓国の人々にとっては、日本政府・企業がほんとうに植民地支配を反省、謝罪しているのかという不信感をもつようになる。悪循環だ。

なぜ、強引に日本政府は韓国の人々の賠償請求にたいし拒絶反応を起こすのか? そこは日本支配層が過去の植民地支配を反省していないということに触れたくないからだと思う。先の戦争の総括を英米の国際秩序に逆らったのが間違いだったとし、アジア諸国を支配しようとして敗北したととらえていないことでも明らかだ。

そして「日米新時代」で韓国をはずすという。日米関係を機軸にしてみれば韓国が「蚊帳の外」に置かれたといえるかもしれないが、それは日米が韓国を引き入れることができなった表れではないだろうか。これまでの日米韓同盟の崩壊を意味し、「新しい日米時代」は落ちぶれていく覇権勢力を意味していると思う。貿易交渉で見られるように日本はアメリカの農産物を買わされ、軍事でも日本にアジア諸国にたいする牽制を日本が前線で担うようにさせられる。日本がアメリカの属国となってアメリカを支えていくというのが日米新時代の実相だ。

しかし、平和と繁栄の東北アジア新時代と南北朝鮮の融合と統一は、時代のすう勢だ。いくら日米が軍事力を強化し時代の流れに逆行しようとしても破綻するのは目に見えている。だから、日米新時代で韓国が「蚊帳の外」に置かれたと揶揄する日本は、実はアジア諸国からますます孤立していくということが見えていない。韓国外しはほかならぬ自国の孤立化の道だと思う。明治維新以来、日本は脱亜入欧の道を歩んできたが、その行き着く先にアジア諸国からの完全な孤立とアメリカの属国化があると思う。

それゆえ、重要なのは韓国外しに走るのではなく、あくまでアジアの一員として日韓関係の修復に努めるべきだと思う。そのためには、自国の主張を基準にするのではなく、相手国の言い分をよく聞いて考えることだ。すなわち、過去の植民支配にたいする反省と謝罪、賠償をほんとうによくやってきたのかを振り返るべきだと思う。