-U20W杯、若きサムライたちに期待-私のサッカー愛国心に火を点けて!

若林盛亮

サッカーは感動! 熱い心!

サッカーにはチームの、そしてサポーターの歴史があり物語がある。その苦節の歴史、曲折を経たストーリーを体験したものが、個々のゲームに一喜一憂し、ついに感動という宝物に出会える。

サッカーに関しては以前に「英プレミアを愛する理由」を書いたが、日本のJリーグや日本の国家代表チームにはいまいち燃えない私だった。しかし十余年ぶりに私のサッカー愛国心にめらめら火が点き始めた。

日本サッカーの草創期、W杯初出場に王手をかけていた

対イラク戦で終了間際に同点ゴールを決められ涙をのんだ1993年の「ドーハの悲劇」! 以来、私はサッカーの虜となった。

TV中継の解説をやった岡田武史(元代表監督)さんが声に詰まって解説を続けられなかった、あの姿が今も目に浮かぶ。当時の闘魂の象徴、スーパー・サブだった中山ゴン(雅史)に惚れ込み、彼の所属するジュビロ磐田一筋のサポーターとしてJリーグ、日本代表戦に熱い声援を送り続けるようになった。そして訪れたジュビロ磐田の黄金期、日本が初出場を決めたトルシエ・ジャパンのフランスW杯、続く日韓共催のW杯では16強進出へと日本サッカーは上昇機運に乗り、私のサッカー愛国心は燃えに燃えた。

しかしジーコが監督として指揮を執った2006年ドイツW杯で予選リーグ敗退、「黄金世代」と言われた小野伸二、中田英寿らを擁しながらあっけない負け方をさせた指揮官を私は恨んだ。敗退の決まった試合終了後、ユニフオームで顔を覆った中田ヒデが天を仰いでピッチの芝に倒れたまま立ち上がれなかったあの姿は今も目に焼き付いている。

以来、日本代表はW杯でも精彩を欠き、ついにはJリーグでも中山ゴンが磐田を去るなどもあってあのわくわく感がなくなった。ジュビロ黄金期も終わって私のサッカー愛国心は熱を失い、いまはもう冷え切ってしまった。昨年のロシアW杯で健闘を称えられた西野ジャパンも、直前のハリル監督解任の余波を受け平均年齢28.5歳という無難だが「未来のない」チームだった。

そんな冷え切った私のサッカー愛国心の熱を呼び覚ましたのが、5月にポーランドで開幕したU20(20歳以下)W杯の日本代表、若きサムライ・ブルーたちだ。

予選リーグを強豪揃いの「死の組」で超健闘! 南米王者エクアドルと1:1で引き分け、メキシコを3:0で破り、欧州予選2位通過のイタリアと引き分け決勝リーグ進出を決めた。これ自体快挙だが、イタリア戦後、選手たちは一様に勝てなかった悔しさを語った。

何よりいいのは、そのアグレッシブさ、スピード感ある攻撃だ。ゴール前でパスをつなぐだけでシュートを打てない、決められないこれまでの日本代表チームの悪弊を打破、ワンツーパス交換か浮き球パス、ドリブル突破でとにかくゴールに迫り、思い切りよくシュートを放つ。守備も相手ボールを二人で囲み、それでだめなら三人目が襲いかかって奪取、即攻撃に移る、皆がよく走る・・・等々、その自信にあふれるチーム・プレーは目を見張らせる。

「選手を活かすために監督である俺がいる」! この素晴らしい世代を育成した影山雅永監督、その薫陶を受けた若き十代の選手たちには“わくわく”させるものがある。

「2000年世代は79年生まれの黄金世代を越えるかもしれない」と評した西野朗・日本サッカー協会、前技術委員長の言葉を信じたい。

最後に蛇足。

UEFA CL(欧州チャンピオンズリーグ)で「私の英プレミア愛」の根源、リヴァプールが優勝、欧州制覇の快挙! この歓喜をU20W杯決勝リーグでの若きサムライ・ブルーの躍進につなげたい。