よど号LIFE 2020年2月号

「新型コロナ・ウィルス」と隔離

小西隆裕 2020年2月20日

私自身にとっては、75歳にして、初めての「隔離」だ。

「ウィルス防止」のため、外国人は無条件、一ヶ月の外出禁止。われわれも、日本人村から一歩も出るなと言うことだ。大使館の人々も例外なく大使館街の外には出られないと言う。

朝鮮は、中国の「新型コロナ・ウィルス」発表と同時に、時を置かず、海外からの朝鮮への渡航を一切禁じ、国境を完全封鎖した。

どうしてもやむを得ない人は、潜伏期間、完全隔離、監視対象だ。われわれ在留外国人の場合も、それに準じると言うことだ。

朝鮮に来てから50年、こんなことは初めてだ。

ウィルスの性格にもよるのだろうが、国家のあり方にもかつてないものを感じる。

国民の安全第一に万全を期す。

これは、政治的にも経済的にも、あらゆる面で重大な問題だ。

そのことを改めて学んだ。

リバプールは「ブラック企業、でも選手らは嬉々としてサッカーをする」!

若林盛亮 2020年2月20日

いま経路不明のコロナウィルス感染が拡大する日本の方たちの不安をよそにこんなことを書くのははばかれるが、「リバプール命」の古希爺の戯言とお許し頂きたい。

あるサッカー批評紙に上の題目のような評論があった。

英サッカー、プレミア・リーグで首位独走中、二位との勝ち点差、実に「25」という大差をつけ快進撃を続けるリバプールだが、その「強さ」の秘密の一端を語っていると思う。

「ブラック企業」、まさにリバプールのサッカーはハードワークを要求する、頭も身体も90分間、休む間もなく酷使し続けるサッカーだ。でも選手たちは嬉々としてハードワークを続け、26節を終えて引き分け1回を含む必勝無敗の記録を更新中だ。

「ブラック企業、でも嬉々として働く」、これは名将クロップ監督の魔術によるものだ。

敵のボール保持時をチャンスと見、敵ボールホルダーに2~3人が見事な連係プレーでボールを狩りとり即座に攻撃に反転、強力スリートップの一糸乱れぬ連係で一瞬のうちにゴールを陥れるスピードサッカーだ。

選手たちの頭の中には、この時はこう動くというチームのプレー原則が詰め込まれていて、瞬時の判断をチーム全体が共有する。だから攻撃の時も守備の時もいつも動きは主導的、敵に走らせられている状態が少ない。

いわば主導的な攻撃戦、ある意味、自分のやりたいサッカーをやるからいくらハードワークでも疲れを知らない、それで勝ち続けるのだから楽しい、面白い。だから選手たちは嬉々としてサッカーができる。

「”ブラック企業”、でも嬉々としたサッカーで勝ち続ける」、そんな主導的で楽しい攻撃戦、こういう戦い方を見習いたいものだ。

暖冬と厳冬

赤木志郎 2020年2月20日

今年の冬は全般的には暖冬だが、異常に暖かいと思ったら、急転直下、厳冬に見舞われる。小寒の日に雨が降るということも史上かってなかったことだ。通常、小寒の日から大寒の日の間がもっとも寒いのに、最高気温が零度以上の日が続いたと思ったら、大寒の日に、急転直下、零下10度になってしまった。大寒以降、次第に暖かくなっていくのでなく、寒くなり大同江も凍ってしまった。

2月に入って再び大同江も解け、次第に暖かくなると思ったら、中旬にはまた厳冬に戻った。従来の、三寒四温などない。厳冬に戻ってもわずかな期間で大勢は暖冬だ。

地球の温暖化がすすむことで、気候の変動が激しくなっているということらしい。

そのため、灼熱の夏、集中豪雨や頻発する台風、そのため河川の氾濫、山崩れなどの被害が多くなっている。異常気象のほかに地震と津波が加わる。

そこへ、今回の新型コロナウイルスだ。AIなど科学技術の発展で人類の未来がバラ色のように描いていたら、自然界からの人類が大きなしっぺかえしを受けるようになっている。人類はあくまで自然界を基盤にして生存している。自然界の生態系を重視し、人類の生存を保障するようにしていくことが大事だと考えざるをえないこの頃だ。

雑煮三昧

魚本公博 2020年2月20日

朝鮮では旧正月をソル・ミョンジョル(正月祭日)として祝いますが今年は1月25日でした。日本でも私の子供の頃は、旧正月を祝う風習が残っており、家では餅つきしていました。

今年の正月、雑煮がことのほか美味かった。歳とって、淡泊な味を好むようになったからか。それで旧正月にも、自分で餅を作りました。朝鮮には食材を潰す道具として小さな臼(木製、鉄製、陶器製と色々あり)を使うのですが、そこに蒸かした餅米を入れて、突き棒でつけば、2、3回分のものができあがり。

やはり自分でついた餅は美味いです。かくて、今年は新正月から旧正月まで自炊の日には雑煮三昧になりました。

宿題のない冬休み

森順子 2020年2月20日

子どもたちの知能開発のためのいろいろな取り組みを行う朝鮮では、今年の小学生の冬休みを午前は自由、午後は2時間のサークル活動とし各小学校の様子をテレビでやっていました。

子どもが元来持っている素質と個性を伸ばす教育をという目的で多様なサークルをつくったとのことです。

それも親の意向ではなく子どもの意見を聞き、趣味、性格に合うものを基本として。でも、やりたいことが多い子どもたち、サークル数はどんどん増えていっています。

また、数国、卓球、ロボット作り、と、2日ずつやってもいいし、子どもが自分の計画をもって行われています。ところで、一番人気のあるサークルは英語です。これはけっこう意外でした。

大変なのは教員です。囲碁担当の先生は家でも夫と対戦して学んでいると言います。そして、子どもの情緒もわかり、もっとわかりやすく理解できる方法や教え方を模索し教員同士が討論しながらやっているという苦労話しもありました。

父兄は「いろんなことを習わせたいと、うちの子はピアノと・・・と3つもやらせていたけど全部学校でみてくれるなんて。それに子どもがもっと活発になったわ」と、いちばんよろこんでいるのは、やはりお母さんでした。

BS録画の楽しみ

小西隆裕 2020年2月5日

私たちの衛星テレビ放送からのビデオ取りは、当然のことながら「共同録画」だ。

皆が思い思い、自分の要求、好みから入り乱れて録画している。

その結果、録画が三つ以上重なって、全部ダメになるとか、いろいろ「トラブル」もあるが、結構、面白いこともある。

皆の要求、好みがどの辺にあるか分かるし、時々、それをのぞいてみるのも悪くない。

おかげで、日本に居た頃、南アルプスの駒ヶ岳に登ったことが唯一の登山経験だった私も、このところ、日本の山の美しさに引き込まれてきたようだ。

映画「Eight Days A Week」-「あの時代」、ビートルズは熱かった!

若林盛亮 2020年2月5日

BS放送で懐かしい映像に触れた。

「Eight Days A Week」-1960年代半ばから人気沸騰のビートルズ、そのドキュメント映画は私に「あの時代」を思い起こさせた。

「あの時代」

17歳ホヤホヤの高三、私の脳天を直撃した「抱きしめたい」! 私はビートルズ風の長髪を真似た、見とがめた体育教師は「女の子の授業はあっちだ」と言った、むくむく起こる反抗心、「ようし、ならあっちへ行ってやる」と私は心に決めた。なぜあんな無謀な決心をしたのかできたのか? 

この映画は十代の心を揺さぶった「あの時代の熱」が何だったのか考えさせてくれる。

1964年、米国南部では食堂もバスも白人用と黒人用ははっきり区別され、黒人が白人の食堂に入ったものなら殴る蹴るのリンチを受けた。そんな米国南部でもビートルズ公演は行われた。最初の公演地、ジャクソンビルでの会場、ゲータボウルは入り口も座席も白人、黒人は別々、人種隔離策をとっていた。

これを聞いたビートルズの4人は、「動物扱いは許されないこと」と猛反対、「人種隔離をやるなら行かない」とまで言い切った。

当時、差別反対の公民権活動家3人が死体で発見されるという事件まで起きていた米国南部では少し「ヤバイ」発言だ。けれど彼らは、「(自分たちの演奏は)“人々”のためにやる、“あの人たち”や“この人たち”のためじゃない」という自分のバンド、ビートルズの考えを断固、主張し貫いたのだ。

結局、ジャクソンビルに始まり、米国南部すべてのビートルズ公演会場で人種隔離の厚い壁が壊されることになった。

「当時、私は15歳の少女だった」とある黒人女性・・・

「会場に入ってものすごく驚いたのは、私の席の周りにいろんな人々がいたことよ。白人たちが大勢いて思い切り大声で(自分も)一緒に歌いまくった」。

それは彼女にとって「“違う人々といる”という初めての経験だった」、でも「“違い”なんかたちまち消えると知った」!

「あの時代」、ビートルズは熱かった! 

大人たちの言うことでも“おかしい”と思ったら、“おかしい”と言っていいんだよ-そんなことをビートルズは世界の少年少女たちに教えてくれた。

「ならあっちへ行ってやる」の十代から半世紀を経て古希過ぎになった今、「おかしい」と言うだけではすまされない時代を私は生きている。その事をわかって生きているだろうか・・・ 

日曜日の掃除

赤木志郎 2020年2月5日

日曜日は掃除の日だ。朝8時半からアパート階段、玄関を各自、分担の箇所をモップで拭く。燃やすゴミを玄関前に出す。この40年間、皆で分担し、アパートの掃除を続けている。せめて自分たちが住んでいるところだけでも掃除しようと続けている。

私の場合、それから家の掃除、洗濯だ。

日本人は清潔好きで、ゴミを残さないという。サッカーの試合を見ても掃除して帰るのを見て、欧米の人たちが驚いている。禊ぎ(みそぎ)という「穢れ」を落とす考え方が身に付いているからか、他の人に迷惑をかけないという考え方が強いからなのか、とにかく清潔好きで掃除をよくやる。お寺でお坊さんがていねいに掃除しているのを思い浮かべる。禅宗では重要な修業の一つだ。

日本にいたとき通学時にそれぞれの家を懸命に掃除しているのをよく見かけていたので、庶民はよく清掃をおこなうものだと考えていた。また、大学生のときは、夏休みに毎日、大阪市から大掃除と引っ越しのバイトが募集されていた。引っ越しより大掃除の方が多い。畳を外に出し、埃をたたき出すのが主だった。それに食事がついた。割が良いので、毎日のように大掃除のバイトをしていた。

そのせいか、借りた部屋や民宿など何処に行っても、まず掃除する癖がついた。でも、最近はもっと掃除しろと注意を受けることもある。日曜日までためないで、もっと日常的に掃除、片づけをやらなければと思う。清潔好きの日本人の良さを思い浮かべて。

アジの思い出、思いは巡る

魚本公博 2020年2月5日

先日、BSで「関アジ」のことを紹介した番組を見ました。大分・佐賀関のブランド高級魚、関サバ・関アジのあの関アジ。

アジといえば安価な大衆魚。子供の頃は毎日のように食べたものです。その中でも懐かしいのは祖母が作ってくれたアジ寿司。小型のアジの開きをそのまま使った大きな寿司。それをそのまま頬張る。その美味さといったら。番組では佐賀関のアジを使った郷土料理も紹介されていましたが、「あっ、あれだ」と思うような料理をたくさん見かけました。

なつかしい日本の味のアジですが。ここ平壌は海から離れているからか、市場では見かけません。斑点のある魚が姿も味も似てはいるのですがアジではなさそう。ない筈はないのですが、まだ巡り合っていません。「私の朝鮮七不思議」の一つです。

それにしても地域衰退が言われる中での地域の努力。関アジは、早吸(はやすい)の瀬戸(豊予海峡)と言われる早い潮の流れに揉まれて身が引き締まったこの地域ならではの特産物。それを古来伝統の疑似餌をつけた延縄でとる。餌釣りだと餌の臭みが残るので、こうした釣り方をするのだとか。これをただちに漁港に運んで池に入れ、一日生かして釣り時のストレスを解消させ、生き締めしたものをただちに東京などに出荷する。

地域ならではの産物、古来から伝わる技術。それを今に生かすことでブランド価値を高め、東京・豊洲市場での価格は、普通の網取りものが1本60円から100円なのに、関アジは1本1000円にもなるとか。

効率第一で地域格差を放置し促進した結果の「地方衰退」。こうした中での生き残りを掛けた地域の必死の努力。その代表格とも言える関アジ。「地方頑張れ!」との思いを新たにした番組でした。

一日も早い収束を願いながら

若林佐喜子 2020年2月5日

暖冬で、最高気温が9度という日もあり、薄く凍った大同江はすぐに溶けてしまいました。

先月22日、朝鮮は新型コロナウイルス対策のため、「観光客の入国を全面停止する」措置をとりました。渡朝50年の取り組みの為の2月中旬訪朝団がやっと決まった時だったので、「 ええ! なんとか例外は認められないの?」と、残念で、諦めきれない思いでした。

朝鮮では、コロナウイルスに関する特別番組が設けられ、連日、中国での感染者数と死者数、世界各地での発症状況や朝鮮の衛生検疫対策の様子が詳しく伝えられています。

1月末の週一の買い物日。特に人ごみの多い市場での買い物には、ちょっと緊張しマスクを使用する私たち。朝鮮の人たちは水際防止の徹底さに安心しているのか、マスク姿はあまり見かけず、人がちょっと少ないくらいの印象で、私の中にも変な安心感が。

だが、31日の世界保健機構の非常事態宣言。日本をはじめ各国、ロシアも中国国境での入国禁止措置などを取り始める。朝鮮の早期の入国禁止措置など、対応の「迅速性」「徹底さ」が見直される中で、私は、自己の考えの甘さを反省。朝鮮は「絶対に流入させない。」と、国家非常防疫体系をとることを宣言したそうです。日本人村のyobo yodo住民は、手洗いなどは勿論、特に免疫力を高め健康管理に注意しています。

渡朝50年の今年、より前向き志向で取り組んでいく思いを新たにする2月。一日も早い収束を心より願いながら・・。